室内自転車乗りのライドログ

室内でZwiftばかりしているインドアライダーのメモ。実走は春と秋だけ、年に数回。

Zwiftalizerの使い方:Zwiftのログを解析してくれるサービス

Zwiftのログを解析してビジュアルで視覚的に表現してくれる素敵なサービス、Zwiftalizerの使い方のメモ。毎度のことだが作者様に感謝

Zwiftalizerでできること

  1. 自分のZwift環境のグラフィックパフォーマンスのチェック
  2. センサー機器類それぞれの接続状況、通信品質、切断頻度の確認
  3. Zwiftサーバとの通信状況と通信品質、接続断の有無の確認
  4. 他のプレイヤーのグラフィックベンチマークの参照

上記の4のベンチマーク結果はサインイン不要で閲覧可能だが、1~3を実行するには、ログインアカウントを作成してサインインする必要がある。昔はログイン不要で全部できたのだが、色々と問題があるのだろう。。

Zwiftalizerの使い方

まずはサインイン

自分のログを読ませてナンボのサービスなので、まずは"Sign Up for Free"リンクからログインアカウントを作成する。適当なメールアドレスを指定してパスワードを設定するだけ。

サインインするとLog Readerに"Drop Log.txt file here or click to browse file system"と表示されログ読み込みができる状態になる

自分で読ませたログの解析

ログを放り込むと10~20秒程度で解析結果が表示される。最初にセッション概要、接続デバイス一覧、読ませたログに含まれるセッション一覧が表示される。このあたりは見たまんまで特に難しいことはない。

その下に続くのがメインのグラフィックパフォーマンス。以下のものが記載される。

  • System/CPU/GPU:使っているOSとハードウェアの種別が表示される
  • Profile:Zwiftでの画面品質設定プロファイルがどれになっているか。基本的にはGPUの種類によって勝手にZwiftが決めるものだが、設定ファイルを直接編集することでユーザが変更することも可能である
  • Resolution:Zwiftの設定メニューから指定できる、Zwift上でのレンダリングの解像度ないしは品質。モニタの解像度とは別のものである点に注意
  • P1:そのセッション内の全ての計測ポイントのなかで最もフレームレートが低い1%の平均値。計測ポイントは基本的に4秒ごとなので、例えば1時間のライドでは900回計測され、そのうち最もレートが低い9回(1%)の平均値がここに表示される。Avg(全部の平均)と比較して差が小さいのが好ましい。P1が極端に落ち込んでいる場合は、場面によってフレームレートの落ち幅が大きいことを示す
  • Avg:全ての計測ポイントでのフレームレートの平均値。垂直同期オンの環境では、この値がモニタのリフレッシュレートに近ければ滑らかで快適なプレイができていると言っていい
  • Max:セッション内での最大フレームレート。垂直同期オンの場合は基本的にはモニタのリフレッシュレートに近い値になる。可変フレームレートの環境では文字通りの最大値を示す
  • Std Dev(Standard Deviation/標準偏差):フレームレートのバラつき度合いを示す。この値が小さいほどフレームレートが常に同じ値で安定していると言える。値が大きければ変動が激しい。個人的には2以下なら快適。4から5以上になるとカクつきが気になってくる

続いてUDP Network Metrics。Zwiftではサーバーとクライアント間の通信にUDPという通信形式を採用していて、この状況と品質を示すのがこのセクションである。

  • Max StC:サーバからクライアントに送られたUDPパケットの最大数/分。基本的にはコースの混雑度に比例する
  • Avg StC:同じくセッション全体での平均UDPパケット数/分
  • Max CtS:クライアントからサーバに送られたUDPパケットの最大数/分
  • Avg StC:同じくセッション全体での平均UDPパケット数/分
  • Rx Err:セッション内で受信エラーとなったUDPパケットの総数。ゼロであることが望ましい。この数が多い場合はネットワーク回線やPC/タブレット自体に問題ないしは能力不足である可能性がある
  • Tx Err:同じく送信エラーとなったUDPパケットの総数。ゼロが基本
  • Crowding %:周囲の混雑度を示す。Zwiftでは自分の周囲にいるライダーを最大100名まで処理でき、100名が周囲にいる状態が混雑度100%になる。上記の画像例では混雑度91%なので、セッション全体で平均して周囲に91名のライダーがいたことを示す。混雑するほどにCPUとGPUの使用率が上がり、ネットワーク越しにやりとりされるUDPパケット数が増える
  • Crowding Tier:上記の混雑度を25%単位で区切って便宜的に区分けしたもの
    • 100 - 76%:Packed (すし詰めだよ)
    • 75 - 51%:Crowded (混んでるよ)
    • 50 - 26%:Company (多少人がいるよ)
    • 25 - 0%:Solo (ほぼソロライドだよ)

さらにその下に続くのはANT+/Bluetooth/TCP/UDP等の機器間やネットワーク接続の状況と品質。画像は我が家のANT+接続の心拍計とスマトレの例。

ANT+接続情報

ANT+を使ったセンサーデバイスと母艦の接続に関する情報。スマトレや心拍計など

  • ANT+ Interference Channel X:ANT+で接続された各機器との通信。ANT+は1秒に4回シグナルを送信するが、そのうちどの程度がドロップ(サーバ側で受信失敗)したかをFail Rateで表す。ANT+はシンプルで軽量なプロトコルだが様々な外的要因に影響を受けやすく容易にドロップするので、グラフが賑やかなのはごく普通のこと。RxFailが15%以下ならばひとまずOKと中の人も言っている。プレイ中に機器の切断が頻繁に起こり、なおかつRxFailが15%を超えている、あるいは高いRxFailが連続している場合は、ANT+の接続不良の可能性が高いので環境を見直すか、Bluetoothの利用を検討する
  • ANT+ FET Transfer Failures (Gradient/Resistance Change Failures):Zwiftがスマトレに勾配の変化(=負荷の変化)を送信したが、スマトレ側でそのシグナルを拾い損ねたイベントの数。イベントの母数が走るコースの起伏に依存するので、いくつなら良好というボーダーラインもない。ぶっちゃけあんまり役には立たないので「ふーん」でいいだろう。ANT+自体の接続は良好なのにこの数値だけは悪い、みたいな状況ではスマトレの不良が疑われるかもしれない
  • ANT+ Disconnects:文字通りANT+の接続自体が切断された回数。ANT+は1秒に4回の送信を行い、これが8回連続して失敗すると接続自体を解除して再接続を試みる。前述のRxFailが少々高くても、この切断イベントが発生していなければプレイには大きな影響はない。切断イベントはZwiftでのストレスフルイベントランキング最上位なので、頻発する場合は環境の見直しを図るべき

Bluetooth接続情報

同じくBluetoothで接続されたデバイスとの通信に関わる情報群

  • Bluetooth FTMS Message Resends:Zwiftサーバからスマートトレーナーに対して送信される勾配(負荷)変化のシグナルの受信にトレーナー側が失敗し、サーバーからの再送が発生した回数。頻発する場合はBluetoothの送受信環境がよろしくない可能性が考えられる
  • Bluetooth Trainer Resets:再送が連続して規定回数をオーバーし、トレーナー側で負荷設定のリセットが行われた回数。これが頻発する場合は明らかに接続環境またはトレーナー自体に問題があるので要対策
  • Bluetooth Disconnects:Bluetoothで接続したデバイスのいずれかとのコネクションが切断された回数。どのデバイスが切れたかはここからは分からない。このイベントが起きるとほとんどの場合は体感可能なパワーロスや心拍数のロスとなって現れる。走行中の発生回数はゼロであることが望ましい

UDP接続関連情報

UDPは主にZwiftのライド中のリアルタイムな情報交換に使われる。トレーナーのパワーや負荷変動、心拍数などのメトリクス、ゲーム内の他のライダーの位置情報など。この品質が低いとプレイ中に接続断やライダーの位置飛びなどが発生し不愉快な思いをすることになるので重要なところ。

  • UDP Network Timeouts:Zwiftサーバからの定期的なポーリングを取りこぼした回数。少ないことが望ましいが、体感上の問題がなければあまり気にしなくていい。多発している場合は宅内またはインターネット側の回線品質に疑問符がつく
  • UDP Network Errors:クライアント側からサーバへのデータ送信の失敗回数。これも基本的にはゼロに近いことが期待値だが、少数なら気にしなくていい
  • UDP Network Disconnects:一定時間以上サーバからのUDPパケットが到達しないイベントが発生した回数。周辺ライダーの情報が届かなくなるので、挙動が怪しくなったりライダーの位置が飛んだり、長時間続くと周りに誰もいなくなったりする。ライド中の発生はゼロであることが望ましい
  • UDP Network Connects:Zwiftサーバへのアクセスポイントは分散型で世界中に複数の接続先があるのだが、現在接続中のアクセスポイントとの通信が怪しくなるとクライアントは別のアクセスポイントに接続を切り替える動作をする。この回数がカウントされる。アクセスポイント側の混雑状況やインターネット側の状況に応じて発生するので、イベント回数は少ないに越したことはないがあまり利用者の側ではコントロールできる余地がない。UDP Network ErrorsやDisconnectsも多い場合はクライアント側の環境問題が疑われるが、この項目だけが多発しているという場合は無視して構わない、というか出来ることは多分ない

TCP接続情報

TCPは主にライド中以外の場面、例えばライド前のレース選択や設定画面の操作、新しいバージョンがリリースされた際のダウンロードやログのアップロードといったシーンで利用される。UDPよりも信頼性が高い通信方式なので、TCPだけエラーレートが高いというケースは考えづらい

  • TCP Network Timeouts
  • TCP Network Errors
  • TCP Network Disconnects

その他

  • Latency Test Failures:Zwiftサーバとクライアントとの間でのデータ送信遅延イベントの発生回数。ネットワークの経路上の何らかの要因によってデータの送信から受信までに時間がかかりすぎていて、スムーズなゲームプレイが妨げられるレベルで遅いと判断されたもの。このイベントが頻発している場合はネットワークの品質に課題がある可能性が高い。回線を別会社に変える、モバイルやWifiを有線接続に変更する、などの手段で遅延を減らすことを検討するべし
  • World Clock Offset:あなたがZwiftをプレイしているデバイスとZwiftサーバで保持している時刻の差分。ライド中はその差分をZwiftアプリが検出して内部的に訂正を加えながらプレイが続行されている。この項目ではオフセット幅が少ないことが望ましいが、大事なのは数値そのものの大小よりも変動動幅が小さいこと。ライド中に大きく変動するとプレイ上の不自然な挙動や違和感になって現れる。変動を引き起こす原因としてはデバイス(PCやタブレット)の内部クロックの精度が怪しいか、通信経路の遅延の変動幅が大きいことなどが考えられる

自分のログを読む以外の使い方

他の人のベンチマークを見る

  • World:文字通りZwiftのどのワールドでの記録か
  • Profile:Zwift設定上での画面クオリティ
  • Resolution:モニタの解像度
  • Crowdedness:コースの混雑度

基本的にはFPSが高い記録から順番に表示される。高性能なゲーミングモニタを使っていたり、垂直同期でフレームレートにキャップをかけていない環境ではマシンの性能が上限まで発揮されるので上位に来やすい。例えば筆者の環境では60Hzのモニタで垂直同期をオンにしているので、Avg FPSは60以下になり、ベンチマーク画面では結構下のほうに表示されることになる。

また結果には新旧が入り混じっている。この手の数値は例えばGPUドライバの更新やZwift側の修正などの要因で突然大きく改善されたりするので、できるだけ新しい日付の結果を参考にするとよいだろう。

検索機能を使う

ベンチマークは普通に見ると縦に長いリストになってしまう。Search機能を使うと自分の知りたいCPUやGPU種別で結果を絞り込める。以下はIntelのArc A750で絞った例

CPU名やワールド名、プロファイル情報を追加指定してAND検索もできる。しかし内部的に何らかの制限があるらしく、ヒット数が多いと上位プロファイル結果しか表示されないようである。色々試してみるとよいだろう

 

以上、より快適なプレイ環境を求めるZwiftersにはとても有用なサイト、Zwiftalizersを紹介した。気に入ったならぜひ作者様に投げ銭をしよう。

 

 

東京から直江津330km:Zwifterがいきなりロングライドに行く実証実験

普段Zwiftしかやらない温室インドアライダーがいきなり実走ロングライドに行って無事完走できるのか実証実験するシリーズ、今回は一人直江津集合にチャレンジ。結果からいうと「完走したけど超キツかった」でした。そのライドの顛末を記録。

なぜ直江津なのか?

  • 関東の自転車乗りはいつかは直江津に挑むものだと噂で聞いたので
  • 前回平坦250kmをまあまあ余裕をもって完走したので、次は300km超えに挑みたい。でも利根川荒川中心に走るのもう飽きた。なら直江津でしょ。という安易なチョイス
  • 直江津から糸魚川に抜ける久比岐サイクリングロードというやつがステキらしいので、直江津で一泊して翌日アフターで楽しみたい。さらに輪行で富山に抜けて立山連峰を見ながらサイクリングロードをエンジョイしたい

不安材料

  • 8月にコロナを喰らって回復に時間がかかり、体力が戻りきっていない
  • 250km平坦(CR多め)は完走したが、320km山ありは全然違うんじゃないのか
  • 郊外での夜間走行の経験がない
  • 長野県入りの定番ルートである碓氷峠旧道が崩落しており通行止め

今回の計画概要

荒川CRで熊谷まで行き、北陸新幹線ガード沿いというマイナールートで埼玉を抜け、国道254号線&裏道を使って下仁田から和美峠経由で群馬県を越えて軽井沢にイン。長野県でも国道を避けつつ北国街道を経由して千曲川CRを北上し、飯山から国道292号線で峠越えしてあとは直江津までほぼ直進するルート。CRと裏道多め、幹線道路はできるだけ避ける方針はいつもどおり。基本的には走るだけのつもりだが、海野宿だけは観光目的で意図的に組み込んだ。長野県中心街を走りたくなかったので、野尻湖ではなく飯山方面を選択。

東京から直江津に行くルートとしては難易度低めっぽいチョイス
  • 職場に事前に一週間程度の秋休みを宣言しておき、その休みの範囲内で天候と風向きが比較的良い日を選び、直前に宿泊施設を確保して決行するスタイル。終日向かい風な展開を物ともしない脚力や、見知らぬ土地で雨の中を走るバイタリティは筆者にはないので、できるだけ条件が良い日を選ぶ
  • 夜間走行は極力避けたいが、さすがにこの距離になると組み込まざるを得ない。グロス20km/hと仮定すると所要時間は16時間なので、2時間ゲタを履かせて前日23時に東京を出発し、日没時刻17時までに到着を目指すこととする。本当は日照時間が長く天候もいい5月あたりにやるのがベストなのだろうけど、春まで待つ気にならなかった
  • 群馬から自転車で長野に抜けるにあたっては定番の碓氷峠旧道を使うつもりだったが、夏の大雨で崩落があり年内は復旧の目途が立たず通行止め。これは痛い。めがね橋も見たかったのに。隣を走る碓氷バイパスで入山峠を越えるルートは、路肩が狭く大型車が高速でバカスカ走るという情報が多く見られたので消去。さらに隣の県道92号線(松井田軽井沢線)を検討するが、そもそも旧道が走れないなら若干遠回りになる横川方面に行く必要はないんじゃね?と思い始め、下仁田経由で姫街道(県道43号)を通り和美峠を越えて軽井沢入りするルートを選択することにした。この雑な選択が後の痛手となるのだが、この時点では知る由もない

マイ相棒

変わらずCanyon Ultimate CF SL 2014年式。52-36Tの28-11T。今年の夏に中華ディープを装着されてイカツくなってしまった。ロングライドにはディープリムホイールがプラスに働くという結果が前回の平地実走では出ているが、果たして今回はどうだろうか

前回の平地250kmライドでの御尊影

事前の準備

初の300km超トライということで、装備品は最小限に留める方針に。宿泊用の着替えやら充電器など一式は事前にホテルに送付して現地受け取りとする。また長時間の夜間走行にあたっては手持ちのVolt400では力不足なので、先達のブルベライダーにも評判の良いOlright RN1500を導入することにした。

  • 自転車に装着するもの
    • ツールボックス(パンク対応用パーツ、工具類、電池、現金の予備)
    • ドリンクボトル 750ml
    • サイコン Garmin Edge 1030 Plus
    • フロントライト Olright RN1500 & Cateye Volt 400
    • リアライト Topeak RedLite×2
    • スピードセンサー XOSS
    • サドルバッグ オルトリーブ Lサイズ
      • 輪行セット オーストリッチのド定番のやつ
      • エコバッグ1枚 小さく畳めるやつ
      • ミニようかん 4本 & アミノバイタルのゼリーのやつ4本
      • メガネの替え 日中のスモーク入りのやつ
      • ウインドブレーカー カペルミュールの小さく畳めるやつ
  • 自分で持つもの
    • 二の腕に巻く型の心拍計 (Fitcentという中華ブランドの)
    • スマホ2台 汗対策でジッパー付きビニール袋に入れて背中のポケットに
    • 財布 現金と小銭(自販機用)、保険証、クレジットカード、Suica
    • ワイヤーロック
    • 鍵束
    • ミニようかん 4本 & アミノバイタル4本
    • ミニタオルとミニティッシュ

そしてライド当日

23:00 (0km):池袋を出発

夜通し走行は初のチャレンジなので、16時頃に布団に入って時間ほどの睡眠を取り、ゆっくり食事をとってシャワーを浴びて23時に出発。池袋駅前まで行って写真を撮ろうとおもったが、面倒なので自宅に近いほうの東池袋駅前で済ませる。都内は明るいのでまずはVolt400だけで十分である。気温は15℃程度でちょうど良い

23時なのでまだ普通に人通りが多い

この時間に都内を走るのはコロナ以来だけど、日も変わる前からかなり交通量が減っていることに若干驚く。昼間よりもかなり走りやすい。王子駅を通って122号線から環七に折れ、鹿浜橋手前で荒川CRにイン。当然のことだが真っ暗で誰もいない。ここで照明をVolt400から今回のために投入したRN1500先生に切り替える。一番明るいHighモードだと夜明けまで持たないので、一つ下のMidモードを使う。Midでも十分に明るく、舗装の陥没や障害物があっても見てから十分避けられる。ほぼ無風のナイスコンディションの中を淡々と漕ぎ始める。

暗闇にぼんやり浮かび上がる朝霞水門さん

月曜深夜の荒川CRは真っ暗で景色もへったくれもなく、すれ違う自転車もランナーも全然誰もいない。ライトが照らし出す目前の路面を見ながら黙々と走るだけである。たまに猫やタヌキ(尻尾が縞模様なので多分アライグマだろう)が行く手を横切ってアクセントになってくれるくらい。上江橋の工事区間を迂回するために一度一般道に出て川越グリーンパークを回り込んでCRに再合流し、心拍数130台をキープしつつ淡々と熊谷を目指す。ホンダエアポートは青い常夜灯の薄明りの中に静まり返っているし、吉井運動公園事務所も真っ暗である。さくら堤公園などでトイレで止まる以外はひたすら走る。車が全然通らないから、普段なら迂回気味に下を潜る立体交差を通らず、幹線道路を止まらず突っ切っていけるのは愉快ではある。

3:00 (80km):押切橋で荒川を渡る

押切橋は交通量が多いので普段は歩道を通るが、ここも車が全然走っていないので車道をそのまま渡っていく。たまに大型車が追い越していくが、対向車線がスカスカで大きく避けてくれるので気が楽である。今回もそれほど写真は撮っていないので、Google Street Viewで失礼。

橋を渡ってそのまま進み、北陸新幹線にぶつかったら線路にそって北西に進路を変えてガード脇の側道を走る。信号はないが一時停止標識が連発するので、昼間はあんまり走りやすくないだろう。しばらく行ったところで北陸新幹線とお別れして関越をくぐって田園ゾーンの真ん中を抜けていく。目印になるものがないので方向感覚もつかめず、ガーミンさんが示すルートに沿ってただ走るのみ。二度ほど曲がるポイントをミスしかけたが、すぐに気付いて事なきを得る。

4:20 (103km):群馬県入り

埼玉と群馬の県境近くで国道254号に合流し、藤武橋を渡って群馬県に入る。ここからはしばらく254号線をひた走る。天下の国道254号線だから交通量が少ない深夜なら少しは走りやすいだろう、そんな風に考えていた時期が俺にもありました。確かに交通量は少ないけど、道幅も路肩も狭く、何より予想よりも圧倒的に暗い。街灯など全然ない。ヘタすると荒川CRと同等の暗さで、さらに路肩の路面が荒れ気味で轍のうねりもあったりするので、特に大型車の追い越しの時にはかなり集中しながら乗っていく。ここでもRN1500さんが大活躍。買ってよかったわこれ。

セブンイレブン群馬吉井長根店で短めの食事休憩

暗闇の路肩をただ走ってメンタル的に若干疲労感を覚えたので、115km地点のセブンイレブンで10分休憩。ここまでに手持ちの羊羹やアミノバイタルを90分間隔程度で摂ってきているが、こればっかりだと飽きる。バナナチョコクレープと鮭オニギリを食してトイレを借りてボトルに水を補給してすぐ出発。再び254号をしばらく走ってから、南側の裏道に折れて西を目指す。来たことがない土地で真っ暗なエリアを通るルートなので、自分が今どのあたりにいるのか全然感覚がつかめない。たまに肥料の匂いが漂い、畑の中を走っていることが分かる。またもやRN1500とガーミンさん頼みの時間が続く。勝手を知らないエリアでの夜間帯は、おそらく素直に国道を走ったほうが良いのだろう。

6:00 (140km):下仁田通過

ようやく日の出の時間を迎え、背後で東の空が赤くなってくる。もう夜間走行はお腹いっぱいです。本当にありがとうございました。今回は基本的に寄り道観光はしない方針なので、淡々と254号を走って進むつもりだったのだが、下仁田市街はこちらという看板を見た瞬間に心の奥底にわずかに残る鉄ちゃん属性が発動し、我慢がきかず左に逸れて下仁田駅に向かってしまう。

夜明けの下仁田駅。これはいい雰囲気

うむ、これは最高。この時間の下仁田駅などなかなか来られるものではない。もっとゆっくり堪能したいが、涙を呑んで3分で離脱。侘び寂びのきいた下仁田市街地を横目に見つつすぐに254号に戻って再び北西に向かう。間もなく道の左側にローソン下仁田小坂店が現れる。ここは前半の山場である和美峠の前の最後のコンビニであり、ルート上の次のコンビニまでは30km以上あるので逃せない。オニギリとウィダーインミネラル、アミノバイタルを食し、トイレを借りてボトルを満たして出発。

ローソン下仁田小坂店。和美峠前の最後の補給地点

254号を右に外れて県道43号線に入ると、いよいよ景色が山深くなり、コースは上り基調になり始める。背後から朝日が差し、紅葉の山並みが照らされてとても美しい。良きかな良きかな。しかし手元のガーミン先生の画面に「ここから14.8km登りやで」のヒルクライムプロファイルが表示されて現実に引き戻される。長いな。。そして後半にどんどん斜度がキツくなっていくタイプか。。

ひとときの紅葉観光を楽しむ

さて、本ライド前半の山場、和美峠である。群馬のヒルクライマーにはポピュラーではないのか、ウェブ上にはそれほど詳細な情報がなかった。関越道の下をくぐるあたりで10%超の斜度が出現するということで、バイクで走った動画を事前にYoutubeで見たがあんまりピンとこなかった。何にしても最早登るのみである。気温が明らかに下がってくるが、上りを漕いでいるので寒くはない。

気温は8℃

今回は超ロングライドなので、ペースを上げすぎないことが重要、と自分に言い聞かせつつ体感8%くらいの斜度をゆっくりと登っていく。前方に関越道の高架が見えてくるあたりで明らかに傾斜が一段階キツくなる。地元の軽トラが唸りを上げて追い越していく。あーなるほど。これは厳しい。13%とか14%とかありますね。写真を撮ってる余裕は全くないのでStreet Viewで。

うむ、これはやばい。インナーローでギリギリである。一体いつから36x28Tで登れると錯覚していた?マイペースとか言ってられる斜度ではない。でも関越のガード下が傾斜のピークだってどこかのサイトで言ってたし、もうちょっとだけ頑張ればなんとかなる。そんな風に考えていた時期が俺にもありました(二度目)。

うん、激坂区間が終わりません。心拍数は余裕でZ5に入り、インナーローで「んぎぎぎぎ」状態でダンシングして足付きをギリギリで回避している状態。ケイデンスは40台であろう。今思えばここは押し歩きしてでも出し切りを防ぐべきだったのだが、後の祭りである。よろめきながらなんとか斜度の厳しいゾーンを抜けて、軽井沢に入る。

グランピング施設出現。いきなりの別荘地感、というか実際別荘地

軽井沢に入ってもまだピークではなく、しばらく緩い登りが続く。朝日に照らされた軽井沢の紅葉が美しいが、脚は売り切れているのでインナーローのまま喘ぎつつトロトロと登っていく。吐く息が白い。。

7:30 (160km):長野県入り

県境を越えて長野県に入り、登りのピークに到達し、ウインドブレーカーを着て下りゾーンに突入する。気温は5℃。靄がかかり朝日が差して景色は幻想的だが、めっちゃ寒い。国道18号はロードバイクでは走りづらいという情報があったので、ゴルフ場の間を抜けて裏道である下仁田街道に入っていく。このルートは住宅地や畑の間を抜けていく細い裏道なので、景色を楽しみながら下り基調をエンジョイできるだろう。

そんな風に考えていた時期が俺にもありました(三度目)。

いやあ、舐めてました。長野県の車社会っぷりと、軽井沢で働く人の多さを。すでに朝の通勤時間帯が始まっていて、このような狭めの道にも地元ナンバーの車がガンガン入ってきて軽井沢方面に向かう長い車列で道の片側が埋まっている。結局は後ろから来る車を気にしながら狭い路肩を注意深く下っていくという残念展開になってしまった。こういうリアリティはストリートビューだけ見ていても分からないものである。

県道137号線に入り信濃追分駅を過ぎてしばらくいくと多少路肩が広がってマシになるが、引き続き寒く歯の根が合わない。なんとかセブンイレブン御代田草越店に到着し、暖かいイートインコーナーでホットのレモンティーとピザまんを食して身体を温め、ついでに羊羹とアミノバイタルを摂る。下仁田のローソンからからここまではヒルクライム込みで約34kmの距離があり、この旅の中でも特に長いコンビニ不在区間。補給食は十分持っていたが、寒さの想定が甘かった。

さて、暖を取り補給も済んだので再出発するか.... と思ったのだが、何かがオカシイ。上手く歩けない、というか脚が痛い。脚というか、骨盤周りの筋肉が張っている。脚を上げる筋肉が軒並み痛い。おそらく腸腰筋と臀筋だろうか。なんじゃこりゃ。自転車に跨るときに右脚が横に上がらない。ついでに支えるほうの左脚内股の筋肉もヤバい。あらら、ちょっとマズいかなこれは?と思うが行くしかないので、何とかサドルに乗ってライド再開。太腿とハムストリングスは大丈夫なのである程度は漕げるが、腸腰筋が痛く回すペダリングが苦しい。これは初めてのパターン。激坂を無理してダンシングした直後に動きを止めてダウンヒルで冷やすというコンボを成立させてしまったせいなのか。何はともあれ下り基調もそろそろ終わるし、気温も上がってくるから、漕いでいれば体が温まって何とかなるだろうと期待。

10:00 (200km):海野宿

137号線を下って小諸駅の裏手を通り、しなの鉄道の電車を横目に見つつ、国道18号線と並行して走る北國街道に入る。ここは目論見通り交通量も信号も少なくて走りやすく、雰囲気もいい。しかしながら腸腰筋の痛みは増すばかりで、細かい段差や荒れた舗装にそのまま突っ込むと振動で痛いし、腰を浮かすとその動作で痛いし、というなんとも逃げ道のない形に。苦しみつつ、今回の数少ない観光スポットである海野宿に到着。トイレ休憩を取るが、バイクからの乗り降りで特に痛みが強く、臀筋が危うく攣りそうになる始末。そして歩けない(笑)。これはアカンかなあ.... と思いつつ素晴らしい晴天の海野宿の景色をしばし楽しむ。

もうちょっとゆっくり訪れたい海野宿。午前中だと人も少なくていい雰囲気

海野宿を過ぎてしばらく行くと道は千曲川と合流する。なぜかガーミン先生の謎のナビで川を一回渡って戻るという無駄な工数が発生しつつ、上田駅の脇を抜けて、上田橋を渡るといよいよ千曲川サイクリングロードに入る。あー、一般道長かったわ。

しかし一息つけるかと思った千曲川サイクリングロードは非常に路面が悪く、舗装の継ぎ目に雑草がモリモリ生えていてとても走りづらい。なんじゃこりゃ。スピードは出ないし振動で腰回りは痛いわで、早々に横の一般道にエスケープ。道の駅おとぎの里に裏から入ってトイレ休憩を取り、羊羹やらアミノバイタルを補給する。バイクの乗降が相変わらず厳しい。

道の駅裏手から見える半過岩鼻。この右側を抜けていく

道の駅おとぎから自転車で千曲川サイクリングロードを北に向かうには、国道18号の右側の歩道に入って半過トンネルを抜ける必要がある。ここはストリートビューで事前に調べてあったので事なきを得た。トンネルを抜けた後のサイクリングロードは、ここまでとは打って変わって滑らかな路面に綺麗な車線表示が施されている。おそらく管轄部署か何かが違うのだろう。千曲川CRはここを起点とうたったほうが良いのでは。

(筋肉が終わってさえいなければ) 静かでのどかな千曲川サイクリングロード

さて初めて走る千曲川CRだが、荒川民としての端的な印象は「景色がとても良くなった入間川CR」。フラットで走りやすいが、狭めの道幅で比較的頻繁に合流やヘアピンカーブやクランクコーナーが登場するので思ったほどテンポは良くない、といったあたりが何とも入間川感。何度か走ったら比較的早く飽きるかも。そんなことを考えながら、うららかな秋の陽射しを浴びて山並みを眺めながらのライドを楽し.... めれば嬉しいのだが、腸腰筋がさらに悲鳴を上げるせいで完全に苦役状態。すれ違う自転車に笑顔で手を上げるのがツラい。途中、女沢公園の新しくとてもきれいなトイレで休憩を取るが、いよいよ脚を上げられず、車体を直立させた状態だと自転車を跨げない。車体を傾けたり左足を段差に乗せたりして、なんとか右脚を抜く感じで自転車から降りる。残りは100km。最後の山越えもある。これはさすがにDNFか?輪行袋はサドルバッグに入ってるし、千曲川の対岸にはしなの鉄道線が走っているのでリタイアはすぐに可能。ここからだと最寄りは戸倉駅か.... ホテルを当日キャンセルして帰宅するか、輪行で直江津まで行って一泊して様子を見るか....

と、無駄なストレッチをしながら10分ほど逡巡するが、まあしかしアレだ。心肺は全く元気だし、大腿四頭筋とハムストリングスはまだ生きてて踏めるし、歩けないけどペダルはギリ漕げるし、飯山までは概ね鉄道沿いでいつでも輪行撤退できるから、行けるとこまで行こう。という結構危ない理屈で自分を納得させ、痛みをおして再出発。さて、この決断は果たして...

忘れられない思い出の地となった女沢公園駐輪場

ここからは痛みと戦う耐久レース状態。とにかく引き足を使い過ぎないように気をつけながら25km/hくらいでひたすら千曲川CRを北上し、国道380号線で関崎橋を渡って、右岸の土手上の一般道を黙々と走っていく。ここでついに「川沿いでロングしてると必ず工事区間に出くわす」の法則が発動。立て看板に書かれた迂回路の通りに進むが、いつのまにかリンゴ農園のど真ん中を抜ける農道に導かれる。農道なので当然だが、路面が荒れ気味で、排水用と思しき溝が掘ってあり、速度が出ないし溝を越えるたびに振動で身体が痛い。グラベルバイクに乗り換えたい。実に長野県らしい景色で、もっと余裕があるライドなら楽しめたのだろうけど、今はキビシイ。

等間隔に掘られている溝を越える際の振動が体にこたえるリンゴ農園

何とかリンゴ農園を抜けて国道406号線と長野電鉄の線路をくぐってさらに川沿いに北に進もうとするが、ここも工事の迂回路が住宅の間の狭く舗装がガッタガタの道。諦めて東を並走する県道343号線に出て、まずまず大型車両が走る路肩を再び淡々と北上する。

14:30 (270km地点):セブンイレブン中野市吉田店

痛みが厳しく自転車に乗り降りしたくないのだが、さすがに補給とトイレは避けられないのでセブンイレブン中野市吉田店で休憩。なんとか自転車を降りて、時速1.5kmでよろめきつつ入店する。完全に要介護状態である。股関節周りの筋肉は終わっているが、心肺と胃腸は元気なので、気分転換も兼ねて多めの補給を摂る。ここでハンガーノックというオチは絶対に避けたい。オレンジジュース、オニギリ2個セット、チョコバナナクレープ、ウィダーインミネラルを購入。イートインコーナーがないので、裏の駐車場で車止めに腰を下ろして食べる。チョコバナナクレープとオレンジジュースを美味いと思える程度の元気はまだある。ちょっと陽が傾いてきた。日没までに直江津に着くつもりでいたが、これは少々厳しいか。というか、そもそもたどり着けるのか (苦笑)

エネルギー補給を終えて再スタート。国道292号線のすぐ西側を並走する、集落を抜ける旧街道っぽい道を北上して飯山を目指す。雰囲気は中々いいが、融雪パイプ設備と思われる微妙な段差が路上を蛇行しているので、万が一にもうっかりで落車などせぬよう慎重に路面に注意を払って進む。右手の山並みが美しい。しかし腰回りが痛い(笑) 腸腰筋を無意識にカバーしているせいか、手にも体重がかかり若干の痛みを感じ始める。あまりダンシングもできず、お尻もいよいよ痛くなってきた。荒れた路面の振動が厳しい。滑らかな路面プリーズ。

15:00 (280km地点):飯山駅

飯山駅。レトロな小都市に忽然と現れる現代風建築物

「もうダメだ」と「まだ何とかなる」を繰り返しつつ、ついに飯山駅に到達。軽井沢から本当に遠かった。長野県の広さを思い知る。この先は、標高差は比較的少ないとはいえ再びヒルクライムである。果たしてこの激しく痛む脚と尻で登れるのだろうか?輪行するなら、ここが実質的に最後のタイミングになる。時刻は15時、日没まではあと2時間。うん。これなら最悪押し歩きしても日が暮れるまでにダウンヒルは終わるだろう。よし、行くべし。少しスピードを落として飯山市街のレトロな雰囲気を味わいながら走り、左に折れて国道292号線に入ると徐々に登り勾配が始まっていく。

さて、正念場である。ガーミンさんの画面に久々のクライムプロファイルが表示される。ピークまでは4.8km。終わった脚でも30分少々あれば抜けられるだろうか。焦って不用意に力を入れて攣ってしまったりするわけにはいかないので、インナーローでできるだけゆっくりと登っていく。幸い交通量は少ない。上り坂の上から西日が照って行く手がまぶしい。心肺には余裕があるが全く踏めない。苦笑しながらひたすら登る。ピークに近づくにつれて斜度が上がっていくが、おそらく10%以下だろう。坂の途中でついに「上越 37km」の表示が現れる。こんなに感慨深い青看板はなかなかない。流石にちょっと感動し、坂の途中で止まって写真を撮った。

マイ青看板オブザイヤー決定

あとちょっと登れば、ダウンヒル込みの35km程度を残すのみ。気合を入れ直して再び走り出し、ピークの大川トンネルを抜け、ウィンドブレーカーを着てダウンヒルを開始する。軽井沢みたいに寒くないのがありがたい。

新潟方面に向かう国道292号線のダウンヒルは、まずまず路面が荒れ気味でカーブも多く、テクニックも経験もない自分にとってはあまり安心して下れる感じではない。野尻湖を抜けて18号線を行くルートのほうが正解だったのかもしれない。リムブレーキのカーボンホイールなので、下ハンでポンピングブレーキをしながら時速40km程度で下っていく。少し行ったところで舗装が少し良くなり直線気味で視界が開けたので、ブレーキレバーを開放して少々加速する。おそらく時速50km程度で富倉トンネルに入ろうとしたその時、リアホイールあたりからブルブルブルという強い振動が発生。まさかここでパンクか?ヤバい!!と思い慌てて強めにブレーキ。元々効きが弱めのブレーキなのでロックすることはなく無事減速に成功。ひとまずそのまま低速で富倉トンネルを抜け、出口で自転車を止めて後輪をチェックするが、全く無事でパンクの気配はない。これはアレか、どこかで読んだシミー現象というやつか。バイクや自転車で何らかの条件が揃ってしまうと共振して全体が激しくブレ始めるという現象。学生の時にぼろいチャリで箱根でスピードを出し過ぎたときに一度だけ経験があり、死ぬかと思った記憶が蘇る。これはマジで本当に怖い。ダウンヒル中にいきなり後輪が左右に震え始めるんですよ?目的地を射程圏内に捉えた盛り上がりが一気に冷めて、震えるハンドルの感触の怖さと、事故にならず減速できた安堵感を交互に感じつつ、筋肉の痛みもしばし忘れて、ものすごく慎重に残りの坂を下っていく。発生の時点で後ろに自動車がいなくて本当にラッキーだった。

16:40 (316km地点):上越妙高駅

ダウンヒルを終えるとコンビニや民家が現れ始める。あとは国道292号線に沿って直江津までほぼ直進するだけ。しかし予想よりも結構路肩が狭く、マンホールやら融雪パイプやらが次々出現するので気は抜けない。体は痛むが、もうここまで来たら行くだけなので、とにかく路面に注意して進路がブレないように集中する。赤信号で停車してビンディングを外して足をついて、青信号でスタートする一連の流れがツラい。

上越妙高駅。なかなかの存在感

北陸新幹線の上越妙高駅を通り過ぎる時点で時刻は16:40。日没は17時なので、あと20分で10kmちょいを走りきればいい計算。うん、無理。諦めて安全運転で行こう。そもそも全然踏めないし。

ということで最後に少しは観光気分を味わいたくなり、直進ルートを少しだけ外れて高田駅前のアーケードを通ることにする。柱が太く高さがあり、中々力強い。冬は真価を発揮するのだろう。営業中の店舗も多く、生きている商店街の雰囲気である。

高田駅前を通るアーケード

高田駅前を抜けたら県道579号線(上越大通り)を真っ直ぐ北に向かう。暗くなってしまったので、再びRN1500の出番である。ガーミンさんの画面に「ゴールまであと5km」のメッセージが表示される。いざゴールが近くなると、ライドが終わってしまうのが惜しいような気持になってくる.... などということは全くなく、とにかく体が痛いので力を振り絞って一目散に直江津駅を目指す。

17:15 (328km):直江津駅

県道123号線を直進してJRの線路をまたいだら、セブンイレブンとゲオの建物が見える交差点を右に曲がっていく。私にはガーミンさんのナビがあるので曲がるポイントが分かるが、直江津駅はこちら!というサインがあってもいいような気がする。程なくして右手に再びJRの線路と駅のプラットホームが見えてくる。スピードを落として駅前の広場に入り、オブジェの前に自転車を置いて記念撮影。やり遂げた...

日没直後の直江津駅

目標の17時には15分間に合わず。しかしこの体調を考えれば、完走しただけで上出来である。予定ではこのあと直江津集合の聖地である船見公園の人魚像を見に行くつもりだったが、痛みがひどくてそんな気力は残っていないので断念。日本海はまたいつか見よう。駅前の光景は感慨深いが、5分も経つともうやることもないので退散。ホテルの前に、まずはボロボロな体に養分を供給せねばならないので、途中にあったファミレス風中華料理店「シャーレン」にチェックイン。駐車場に自転車をとめて入店するまでがまたもや苦難の道のりだが、座ってしまえばこっちのものである。

うおォン 俺はまるで人間火力発電所だ

疲労した体を回復させるべく注文したのは、チャーシュー麺、五目あんかけご飯、ギョーザ一枚。付け合わせにミニスープと漬物盛り合わせ。完全に孤独のグルメ状態。やはり羊羹とアミノバイタルとコンビニデザートだけでは、人は文化的な生活は送れないのである。五目あんかけご飯が予想外に大盛なせいで若干苦しい戦いになったが、ギリギリ完食。店を出て暗い路肩を5分ほど走って、ついに宿泊先のホテルルートイン上越にたどり着く。ルートインホテルグループは大抵何も言わずに部屋にロードバイクを置かせてくれるので、自転車旅行にはありがたい存在である。

部屋に着いたらすぐにシャワーを浴びて横になりたいところだが、まだ仕事が残っている。まずは明日以降のプラン変更。比企サイクリングロードから富山湾の海沿いルートを楽しむつもりで宿をとっていたが、明日の朝に回復するとは全く思えない。サドルに跨ることもできなさそうなので、ここは諦めてキャンセルの電話を入れる。キャンセル代はポリシー通り100%支払うつもりでいたが、大丈夫ですよということになり無料。日本のサービスレベルに感謝しつつ、来年絶対行こうと心に誓う。

帰宅が決定したので、デバイスの充電をセットし、シャワーを浴びて部屋着に着替え、ウェア一式をコインランドリーで洗濯脱水して部屋に干して、歯を磨いて就寝。寝返りを打つたびに痛みで目が覚めるが、まずまずよく眠れた。

翌日:撤退

日の出とともに出発して日本海を堪能、という予定がなくなったので、8時頃に起床。ベッドから立ち上がろうとする動作で腸腰筋がめっちゃ痛い。まあ回復しませんよね。時速2km以下でよろよろ歩き、ピークを過ぎて人もまばらな食堂でゆっくりと朝食バイキングを食べる。味噌汁がうまい。

部屋に戻って一応バイクに跨ろうとしてみるが、やっぱり脚が上げられない。直江津駅まで自走するのも厳しそうなので、部屋でパッキングしてタクシーで駅まで移動することにする。ボックスタイプを呼べばいいやと安易に考えてフロントで配車をお願いするが、直江津ではボックスタイプはまだ導入されていないらしく、自転車を積める車種は「ジャンボタクシー」しかないとのこと。選択の余地はないのでそれをお願いしたところ、10人乗りのマイクロバスだった。温泉宿とかに迎えに来てくれるアレ。大きいタクシーを探して色々電話してくれたホテルルートイン上越のフロントの方、本当にありがとうございました。

微風晴天という絶好のライド日和だが無念の撤退

あとは、歩くのが遅いことを除いては普通の輪行。直江津駅で北陸新幹線の車両最後部の座席指定券を買って各停に乗り、上越妙高駅で昼ご飯を調達して北陸新幹線に乗り換える。新幹線が速いのは分かっているのだが、しかしながらあれだけ苦労した飯山から上越妙高の所要時間11分というのは流石に感情的には受け入れがたいものがある(笑)。飯山駅を過ぎると、昨日走ってきた千曲川沿いの景色が逆向きに車窓を吹っ飛んでいく。すごいな新幹線としか言いようがない。外国人観光客で賑わう社内でカツサンドとオレンジジュースとチョコバナナクレープ(この旅で3個目)を食って、前日のStravaのログなどを見ているとすぐに大宮駅に着き、湘南新宿ラインに乗り換えて池袋に帰着。自宅までの僅かな距離も乗れる気がせず、輪行袋をしょったまま自宅まで歩いて帰って旅の終了。お疲れさまでした。

では大反省会

Stravaさんによるまとめ

ほぼ想定したとおりの時刻に直江津に到着できたし、一日の走行距離のパーソナルベストも大幅に更新できたので達成感はある。しかしとにかく和美峠から軽井沢エリアで腸腰筋周りを痛めてしまったのが大失敗。このせいで後半は踏めない上に痛みとひたすら戦うライドになってしまったし、結果的にゴールは出来たが筋肉へのダメージが大きすぎて、帰宅後も一週間ほどは普通に歩けず、痛みが引くまでには三週間を要した。冷静に考えると上田あたりで大人しくDNFしておくのが正解だったのだろう。

休憩と補給について

トータル18時間で、コンビニ休憩は4回。トイレは多数。補給したカロリーは以下のとおり。

  • ミニ羊羹8個、アミノバイタルアミノショット赤4個、青4個、ウィダーインミネラル2個
  • オニギリ4個、ピザまん1個、チョコバナナクレープ2個
  • レモンティー350ml、オレンジジュース100mlを2本

ざっくり計算して合計3,000kcalくらい。Stravaさんの判定ではライドの消費カロリーが5,500程度であり、ロングライドでは一般的にこのうち半分を糖質で補給すべし、と言われているので、まあこんなもんだろう。1時間250kcalの法則からするとちょっと足りていないので、安全を考えるともう少し食べても良かったかもしれない。水筒がベタつくのが嫌で今回はスポーツドリンクを一度も摂らなかったが、アミノバイタルとウィダーのおかげなのか特に問題はなかった。

装備の振り返り

まずまず想定通りで大きな失敗はなかった。軽井沢の寒さ対策を除いては...

  • 気温が高くないので、ボトルは750ml一本で何とかなった
  • 暗い夜道でOlright RN1500が大活躍。いい買い物だった
  • 毎度のことだがGarmin Edge 1030 Plusの稼働時間が長くて助かる。今回も特にバッテリーセーバー機能を使うことなく普通にライドを記録させてナビもさせたが、18時間のライド後でバッテリー残量はまだ46%もあった
  • 寒いダウンヒルに合わせたジャケットとウィンブレを装備すべし(当たり前)
  • 踏めなかったので、Elite社ディープリムホイール君の効果は全く分からず。一応長いダウンヒルでもリムに問題なく下れることは分かった

シミー現象について

複数のWebサイトを当たった限りでは、これというシンプルな原因はなく、複数の条件が揃ってしまったときに振動が増幅されて発生するものらしい。サドルバッグを変えたら治まったという報告すらあった。直近の大きなセッティングの変更はホイール交換だが、ひとまず単純に新しいホイールのせいだと決めつけることはせず、タイヤや空気圧などを変えながら切り分けをしていこうと思う。しかしながら想定内だとしても再びアレを経験するのは中々勇気がいるし、実際危ないし、さてどうしたものか。まあ当分ダウンヒルはしないだろうから、ゆっくり考えよう...

Zwiftしかやってなかったが大丈夫だったのか?

Zwiftオンリーでも300km超は行けるが、意識して鍛えておかないと苦しい戦いになるというのが今回の結果。自分の感覚では、Z4序盤くらいの負荷で3時間程度のZwiftライドをこともなく完走し、翌日に大した疲れを持ちこさない程度の体力は必要かなと。今回はコロナで落ちた体力を戻し切れていなかった。ちなみにZwift最長のThe RPL Full(173km)はロングライドのいいベンチマークになるので、自宅でシミュレーションしたい諸兄にお勧めしたい。

あとは激坂対策としての筋力向上。自分はZwiftをデフォルト設定でやっていて、これだとローラーの負荷再現度が50%なので、Watopiaの電波塔でもギアが足りなくてペダルが踏めないというレベルにはならない。敢えて重いギヤで練習する必要もありそう。

総まとめ

初挑戦なので教訓が多かった。超ロングライドを健やかに完走するには、偏りなく筋力と心肺を鍛えないといけないし、事前のコース調査はもうちょっと丁寧にしないといかん。そしてロングライド自体は楽しいのだが、長い夜間走行はとても走りづらく気疲れすることが分かった。少なくとも今の時点では、今回のような深夜発ライドはご馳走様な気分。でも半年くらいするとまた行きたくなってくるのだろう。サイクリストの業は深い(笑)。それではまた春が来るまでZwift世界を楽しみます。

ロードバイクのビンディングをSPD-SLからSPDに乗り換えたメモ

私の最初のロードバイクは知り合いからお古を譲ってもらったもので、そのバイクには最初からSPD-SLペダルがついていた。というだけの理由で10年ほどSPD-SLを使い続けてきたのだけど、ロングライドの距離が伸びるにつれて、これはトータルバランスではSPDのほうがいいんじゃないか?と思い始めたので購入して使ってみて、結局乗り換えた。その際の比較結果をメモ。

ちなみに筆者はレースをせずスプリントする機会もなく、淡々としたロングがメイン。

SPD-SL (PD-6800+黄クリート)

ちょっと前のUltegraグレードのペダル

いいところ

  • ライド中のフィールはとても良好。足の裏の面でペダルを踏めている感触があり、ダンシングもしやすい
  • クリート位置の微調整がしやすく、3か所のボルトでしっかり固定できる
  • シマノの黄色クリートなら足首がまあまあ動かせる
  • ペダルが軽いだけでなく、シューズも軽い(軽いシューズの選択肢が多い)
  • かっこいい(個人の感想です)
  • ビンディングシューズじゃない靴(スニーカーとか)でも結構普通に漕げる

そうでもないところ

  • バネを一番弱くしても、はめるときも外すときもある程度の力が必要。100km以下のライドなら特に問題はないのだが、200kmを超えて一日中走るライドになると左足の足首に若干の疲労感が出てくる。あと都内の信号峠で着脱を繰り返すのがダルい。しっかり固定することが目的のシステムなので、当然ではあるのだが
  • 短距離なら歩けるけど、でもやっぱり歩きづらい。色々気をつかう。タイル系の上だと滑るので注意が必要。特にトイレとか濡れた草地はすごく危ない。アスファルトでは雑に歩くとクリートがゴリゴリ削れる。飲食店や公共施設に立ち入る際には、床の材質によってはかなり気を遣わねばならない、というか最悪入れない可能性もある。対策はクリートカバーだが、常時持ち歩くのはダルい

SPD (PD-A600+シングルリリースクリート)

ちょっと前の片面SPDペダル。中古が安い

いいところ

  • SPD-SLには及ばないが、十分に面で踏んでる感あり。淡々と回すロングライドなら全然問題はないし、坂でもガン踏みしなければ不足は感じない
  • クリートの着脱が軽い。ロングライドの終盤も疲れにくい。普通に回して軽くダンシングする程度であれば走行中に外れるようなことはなく、固定力も十分にある
  • クリートの金属部分が出っ張っていないので遠慮なく歩ける。歩きやすさはシューズのソールの硬さ次第ではあるが、少なくともSPD-SLに比べると気が楽でいい
  • クリート位置を左右方向に調整できる。SPD-SLでは前後と角度は調整できるが、左右にずらせる余地はほとんどない
  • ロードバイクとの見た目の相性も悪くない

そうでもないところ

  • 走行中の踏みやすさやフィーリングだけで言うと、SPD-SLのような人馬一体感はない。が、慣れれば概ねOKだし、ガンガンに踏まないならば特に不満はない。どのくらいストイックに走りたいか次第である
  • 片面ペダルで、なおかつクリートが金属なので、キャッチミスによってペダルの裏側があっという間に傷だらけになる。傷がついても故障するわけではないので、気分の問題だけど。そのせいか、中古価格がかなりお得な気がする
  • 前述のとおり、歩きやすさはシューズの選択次第で結構変わる。靴底が硬いシューズはグリップしないので、SPDであってもSPD-SLと同じように滑りやすい点に気をつけよう。短距離グルメファンライドを楽しむのがメインの目的で、ライド先で歩き回ることを重視するなら、スニーカーやトレッキングシューズに近い、ソールが柔らかくてグリップ力があるモデルを選ぶべし。私はシマノRX6のブラックを選択した。軽くて適度に剛性が高くて、控えめな迷彩柄がロードにも似合って中々のお気に入り

  • ペダルの裏も表も平らではないので、普通の靴だとペダリングしづらい。ちゃんとしたライド以外にも、ちょっとそこまでお出かけという目的でロードを使いたい人にとっては、(SPD-SLと比べて)少々不愉快なペダリングになるだろう

SPD (PD-M520+シングルリリースクリート)

両面SPD。初心者にとってはキャッチしやすい

いいところ

  • 両面ペダルなので(練習しなくても)キャッチしやすい
  • 値上がりはしているが、それでも安い。2023年7月現在、新品でも5K円程度。傷や故障を気にせずガンガン使える
  • しかしながら丈夫で全然壊れない。低価格帯のエントリーモデルだがもの凄い安心感。さすがシマノである

そうでもないところ

  • さすがに若干重い。MTB向けのエントリーグレードだから仕方ないが
  • 点接触感が(比較的)強い。面で踏めない。終日ロングライドになると接触点を中心に足裏の疲労を感じる
  • ビンディングシューズではないフラットソールの普通の靴だと極めて乗りづらい(あたりまえ)
  • ロードにはちょっと似合わない(個人の感想です)

おまけ:SPD-SLのライトアクションという選択肢

実はシマノからはペダルの固定力を軽くしたSPD-SLペダルが販売されている。現行モデルだとPD-RS500がそれに該当する。これ。

ショップで試したところ、確かにアルテグラよりは軽い。SPD-SLの踏み面の広さというメリットをキープしつつ着脱を軽くしたいなら、このライトアクションペダルは選択肢になるかもしれない。問題はちょっと重いこと。PD-RS500は320gある。

まとめ

「ロードバイクでのロングライドを快適にする」ことを目的にすると、SPDの片面ペダル+軽めのシューズが自分には一番合っているようである。ペダル本体は十分軽量で、シューズもシマノの中位以上なら軽量モデルがあり、ペダルリリースの軽さと固定力のバランスが良く、歩きやすい。クリートは金属で減りづらく耐久力がある。一方、純粋に走行フィールだけを考えればやっぱりSPD-SLが最高なので、こちらは引き続きZwift用として使い続けようと思う。

 

Zwiftでジャージやアクセサリをアンロックできるイベントを効率的に探すメモ

Zwiftでは、特定のライドに参加して完走することでジャージ等のウェア類やアクセサリをアンロックすることができる。そんなイベントはどれなのか、何時にどんな内容で開催しているのか、を素早く簡単に知る方法をメモ。3パターンある

お気に入りのひとつ、Tour de Zwift 2021ジャージとキャップ

1. ZwiftHacksのイベントページで検索する

Zwiftersにはメジャーなサイトである"ZwiftHacks"で簡単に検索できる。検索したあとの各イベントの視認性も良好。

zwifthacks.com

上記のリンクからEvent一覧を開いたら、"Rules"のタブを選び、以下の二つの検索条件で絞り込む。

ZwiftHackでのイベント検索画面
  • Jersey unlock
    • ジャージがアンロックできるイベント

  • Completion prize
    • アクセサリ類がアンロックされるイベント

注意点として、これはレースの主催者が登録した情報に沿って表示しているだけなので、実際には結果が若干ズレる場合もある。例えば2023年夏の"Watch The Femme"ジャージや、"Zwift Insider"ジャージは、Jersey UnlockではなくてCompletion prizeでの登録になっていた。

なので当サイトとしては両方のタグをそれぞれ別々にチェックするのを推奨する。二つのタグを両方同時に選択すると「Jersey unlockとCompletion prizeフラグが両方立ったイベント」がAND条件で対象になってほとんどヒットしなくなるので、別々に見ること。

アクセサリ類(キャップ/グローブ/ソックス/シューズ)は基本的にCompletion prizeで引っ掛かるが、何が貰えるのかはレースを完走してみるまで分からない。レース個別の説明書きに書いてあることもあるが、何も触れられていないことも多い。

以下は、毎回ZwiftHacksで条件指定をするのが面倒だというものぐさな人向けのリンク。検索条件を設定した状態に直接飛べます。

Jersey unlock

https://zwifthacks.com/app/events/?key=64b9e1737b924
https://zwifthacks.com/app/events/ztag/jerseyunlock

Completion prize

https://zwifthacks.com/app/events/?key=64b9e1bf33bcd

2. Zwift公式のイベントリストからタグで引っ掛ける

公式のイベントリストのURLの最後にタグを指定するとイベント抽出ができる。Jersey unlockの場合はこちらのURLでいける。

https://www.zwift.com/ja/events/tag/jerseyunlock

視認性や機能面ではZwiftHacksのほうが使いやすいのだが、公式には「バナー画像でジャージのデザインが分かる」というメリットがあるので使い分けよう。

公式イベントリストではジャージのデザインが分かる

たまに、バナーからはデザインが全く分からないイベントや、バナーとは違うジャージがアンロックされる場合もある。Castelliライドのように、イベント概要の中にどのジャージがアンロックされるか書いてあるパターンもある。Completion prizeはタグが分からないので、公式サイトで検索する方法は不明。#completionprizeだと何もヒットしない。誰か知ってたら教えてください。

3. orpheus-tracks.comさんで検索する

orpheus-tracks.com

有志の日本の方が公開しているサイト。ジャージのデザインから該当するイベントを知ることができる。時系列でイベントを並べることはできない。欲しいジャージの柄から辿りたいときに有効に活用できる。

 

以上3パターンをご紹介した。しかし、ジャージが貰えるといっても所詮はバーチャルだし、ライドのたびにマメにアバターを着替えさせるわけでもないし、アンロックしても一度も着ずに倉庫にしまい込んで二度と使わないことも多い。なのにジャージアンロックイベントがあると優先的に参加してしまうのは何故なのか。サイクリストの業の深さを感じずにはいられない。私だけでしょうか。では皆さん楽しいZwiftライフを。

Zwiftプレイ中に発生する通信データ量はかなり少ないというメモ

自宅のルーターで、Zwiftプレイ中のネットワークトラフィック量(通信データ量)の様子をモニタしてみた。

上がデータ量、下はパケット数

ワールドはWatopiaで、ロボペーサーのCocoさん集団(50人くらい)と走りながら徐々に前方に抜け出して10人くらいのパックで走ったのが上の図。集団走行時のピークトラフィックで80KB/s(=0.64Mbps)くらいなので、データ量はかなり少ない。回線の帯域幅が1Mbpsあれば捌けるくらい。フルHD動画のビットレートが4.5~9Mbps程度とされているので、普通にYoutubeが楽しめる回線ならば、Zwiftで帯域が不足することはまずないだろう。我が家の100Mbpsの光回線では当然余裕。近頃の光回線は1Gbpsガーなどと謳っているが、その1/1000で事足りる。固定回線はもちろん、大半のモバイル回線でも余裕で捌けるだろう。

結論:Zwiftをプレイするのに高速な回線は全く必要ない

ただしZwiftでは帯域幅よりも遅延(こちらのリクエストに対してどれだけ素早くサーバーから返答が戻ってくるか)が少ないことのほうが大切なので、レスポンスが比較的不安定なモバイル回線よりは固定回線のほうが無難。さらに時間帯によってレスポンスが不安定になるプロバイダも避けるのがいいだろう。

また、Zwiftの新バージョンが出たりしてソフトウェアのアップデートを行うときには、結構大きめのデータをダウンロードする必要があるので注意しよう。

カーボンホイール Elitewheels Flow S50で平坦ロングライドの速度は上がるのか

並脚ライダーがカーボンディープホイールを使ったら平地巡行速度は上がるのか?ド平坦ロングライドで試してきました。使うのは、買ったばかりの中華のElitewheelsのFlow S50という50mmハイトのカーボンホイール。詳細と導入については前回の記事をどうぞ。

tokyoeastside.hatenablog.com

今回のコース

池袋から都心を横断して江戸川から利根川とCRをつないで北上し、群馬県目前で折り返して上里インターから関越沿いに南下しつつ熊谷から荒川CRで戻ってくるド平坦コース、約250km。9か月前に走ったルートと基本は一緒で、折り返しポイントをもうちょっと奥にとって距離を30kmほど長く稼ぐかたち。平坦ロングでホイールの違いが出るのか検証しつつ、ついでに一日のライドの自己最長記録を伸ばそうという目論見

埼玉のサイクリングロードをひたすら走るやつ

まずは結果から

ローハイトホイール(キシリウムエリート)で走った前回ライドのネット平均速度22.6km/hに対して、今回は25.0km/h。2.4km/h速いという結果になった。

2022年10月 vs 2023年6月

左が前回、右が今回。今回は30kmほど距離が長く、途中に150m程度の控えめな山を挟んでいて、終盤の荒川が多少(3~4m/s)の向かい風、と若干ながら不利な条件。一方で前回は利根川CR工事区間の洗礼を浴びて結構コースミスしているので、トータルでの条件は、前回も今回もざっくり同じくらいと考えていいだろう

どう解釈するか?

  • この距離でネット平均が2.4km/h違うというのは、かなり大きな差と言っていい。200km超のロングライドで時速が2km違えば1時間早く帰ってこられるし、休憩時間を増やしたり観光に充てる時間を確保することもできるわけなので、この違いは大きい。実際、今回は走行距離が30km長いにも関わらずグロスライド時間の差は30分だった
  • つまるところ、今回一度の結果だけで言うと、7万円ちょい払ったらロングライドでネット平均速度が2km/h以上上がりましたという話。なかなかのコスパである
  • ただし、これが「ディープリムの空力性能がすごい」という話なのかどうかはあんまり良く分からない。もしかするとリム幅拡大(による空気圧0.4bar下げ)のおかげで乗り心地が良くなり、若干荒れ気味のアスファルトでの巡航速度が上がったのかもしれないし、その両方の合算なのかもしれない。まあ実際に速くなっているのだからどっちでもいいのだけど。

新ホイールの感触

特に何か強く主張してはこないのだが、気が付くと速く走れているという感じ。これはこれで悪くない

  • 乗り心地がかなり良くなった点は満足。しかしこれは多分リム幅が広がってタイヤの空気圧を下げられたせい。ホイール自体が硬いとか柔らかいとかは、やっぱりよくわからない。スプリントしないし。ただ、フニャついてるという感触はないし、シュータッチすることもない
  • 付属の謎のブレーキシューには慣れた。ちゃんと止まる
  • 大き目のラチェット音にも慣れた。土手のCRでは歩行者に存在を知らせられるので好都合。早朝の寝静まった住宅街ではちょっと気になる音量ではあるが...
  • セラミックベアリングの効果は全く体感できないが、転がりに不満はない
  • 風速は帰路の荒川で(Windy.comによれば)最大で4m/s程度だったが、この程度だと横風に煽られるということはなかった
  • 総じて、特に存在感を主張しないが全体的にスピードを上げてくれている。無口な仕事人タイプとでもいうべきか。まあ、今のところ満足です。カッコイイしねw

曇天の円良田湖にて

まとめ

平均速度が30km/hにも全く届かない並脚ライダーであっても、そして安価なマイナーブランドのものであっても、ディープリムホイール(ワイドリムホイール?)を使ったら平坦の巡航速度を多少は上げられるという結果になった。これなら朝早く出れば日没前に300km完走できそうな気がする。強い横風の中でどの程度走れるのか、耐久力はどうか、はまだ分からないが、今のところは良い買い物だったと思う。より高価で軽い、あるいは低価格で重い他のディープリムのモデルと比較して、このFlow S50がどうなのか?というのは全然分からないが、まあ少なくとも平地なら十分なんではないでしょうか。ヒルクライムが多い人、レースに出る人はDriveかEdgeをご検討ください。

あと、Zwiftだけしかやってなくても実走250kmを元気に完走できちゃうもんですね。やっぱりZwiftすばらしい。

カーボンホイール Elitewheels Flow S50:装着と初回実走でのインプレ

今回はバイクにホイールを装着して初回実走に行くまでのメモ。選定と購入と到着までの話はこちらをどうぞ。

tokyoeastside.hatenablog.com

いわゆる開封の儀

パッキングと付属品はシンプルで必要十分。ファンシーな要素は特にないけど、質実剛健なものを求めて購入しているので、これでOK。ホイール本体は発泡スチロールっぽい素材の袋に入っていて、これは雑に扱うと簡単に破れちゃいそうなもの。付属品はリムテープ、ブレーキパッド、クイックリリース。リムテープはおそらく5mちょいで、一度の使用でほぼ使い切る感じ。

ホイールの袋は何度も再利用する感じではない

そしていよいよご本尊のお出ましである。確かにリムがカーブしていて、あんまり見ない形状になっている。

Flow S50 フロント&リアホイール

ブレーキ面はしっかりバサルト加工で、デカールもきれいに貼られている。AERO DYNAMICSの文字が誇らしげ。実際にそうであることを願う

リムのクローズアップ

ブレーキ面に問題は見受けられない

リム内側はこんな感じ。綺麗に見えるが、とはいえ初のカーボンホイールだし、ぶっちゃけ良くわからない。QC Passedと貼ってあるから大丈夫だろう(雑)

リム内側。ニップル穴あり

ハブはエリートの他のモデルでも良く使われているセラミックベアリングをうたうやつである。私は耐久性重視なのでスチールベアリングで良かったのだが、まあいいか。ちなみにフリーのラチェット音は噂通りまずまずの大きさだが、通行人がみんな振り返るというレベルではない。室内で手でホイールを持って回せばうるさく感じるけれど、外に出ればちょうどいいくらい。アーレンキー2本で簡単に分解できるので開いてみたが、グリースはしっかり塗られていたので、そのまま元に戻した。

リアホイールのハブ

そしてお待ちかねの体重測定であるが。。。

フロント658g+リア820g=1478g。ほぼ公称どおり。うむ、十分である。ちなみに動画は撮っていないが、フレもほぼない。ではバイクにインストールしていこう。

バイクへの装着

慣れてないので結構モタついたが、手順はこんな感じ

  • ブレーキパッドをカーボン用に交換する。付属のパッドはシマノのフネに問題なくフィットしたので一安心
  • ブレーワイヤーを緩めて、キャリパーをほぼ全開まで広げる。新ホイールは外幅28mmなので、BR6800の対応上限ギリギリである。ワイヤー先端の余りが少ないと、ここでケーブル長が足りず丸ごと交換することになる
  • キシエリからタイヤとチューブ、スプロケットを外す
  • チューブのバルブコアを外してバルブエクステンダー(シュワルベのやつ)を取り付ける。コンチネンタルの42mmに、30mmのエクステンダーを装着
  • 付属のリムテープを新ホイールに巻き、バルブ穴を開ける。リムテープの幅は21mmであった
  • 新ホイールにチューブとタイヤ、スプロケットを装着する
  • ブレーキパッドの位置とキャリパーの閉まり度合いを調整する

フレームが古いのでクリアランスを心配していたが、大丈夫そうである。良かった。

これだけクリアランスがあれば大丈夫でしょう

タイヤはあんまり減ってないSchwalbe One V-Guard 25C(クリンチャー)をそのまま移植。新ホイールはリム内径18.5mmなのでタイヤ幅は少々広がり、実測値は27.2mmとなった。見た目はほぼツライチで良い感じ。余談だがこのSchwalbe Oneはとてもはめやすく、今回も手だけで余裕で装着できた。新しいカーボンホイールにタイヤレバーを使わずに済んで満足

ほぼツライチ。105%ルールの条件にはギリ足らず

インストール完了

印象変わりすぎ

うーむ、予想以上にイカツイ。アルミのローハイトからのスイッチなので激変度がすごい。フレームもタイヤも黒系なので、かなり雰囲気が重たい。黒いスーツの男がサングラスをかけて黒いコートを着込んでいる、みたいな印象になってしもうた。これじゃあもうポタリングには行けない(行くけど)。これがいわゆる「男は黒に染まれ」ってやつなのだろうか。フレームがまあまあ細身なので、バランスとしては40mmのほうがいいんだろうなあ。でも、これはこれで速そうで良き。

ちなみに在りし日のスマートだったUltimate君はこちらです。

シュっとしていた頃のCanyon Ultimate君

初回実走での印象

ちょうど千葉外房方面に行く機会があったので、往路でシェイクダウン。こういう大きな変更の直後は色々とトラブルが出る可能性があるので、自宅近辺でまずは小さく乗るのがベターだと思うが、走ってみたい欲求に負けた。私はカーボンホイールもディープリムも初体験で、比較対象はアルミローハイトのキシリウムエリートだけではあるが、初回ライドの印象は

  • タイヤのボヨンボヨン感が減り、安定感がアップした。タイヤがそのままでリムが幅広になった(内径15mm→18.5mm)ためだろうか
  • 良く言われることだがリム内に響くコオオォォという走行音がいい
  • 加速感はキシエリとあまり変わらない。しかし元々ゼロスタートで踏み込まないタイプなので、正直言うとあんまり分からない。少なくとも重たくは感じない
  • 剛性は.... よく分からないが、少なくともダンシングでシュータッチしたりフニャつきを感じるということはない。まあ出力は300Wも行かないしね。。
  • アルミに比べるとブレーキは利きづらい、というかアルミと同じ感覚で握りこむとそれほど減速しない。ガッツリ握ればロックする程度には利くので止まらないということは全くないけど、当社比で握力が要求されるので多少手が疲れる。普段Zwiftしかやってないインドアライダーはブレーキを一切握らないので握力不足なのである。しかしこれは多分慣れの問題。ポンピングブレーキも習得せねば...
  • 平地で30km/h超えてからの伸びはかなり違う.... ような気がする。弱い向かい風基調の千葉外房有料道路のStravaセグメント(18km)でアベ32km/hが出ていて、これは自分の脚力からするとかなりいい数字。向かい風でも踏めば伸びる感じがある。とはいえ初走りでテンションが上がっていて、いつもより頑張って漕いでいただけの可能性も結構ある(実際心拍数が高い)ので、よく知っているコースでもう何度か走る必要がありそう。ある程度ちゃんと比較するにはパワメが必要だな
  • 横風の影響は確かに感じる。当日は風がさほど吹いていなかったので、ハンドルを取られて怖いということはなかったが、ダンプトラックが横を走り抜けるとバイクがふらふらと揺れる。震度3の地震みたいな感覚。これはキシリウムではなかったこと。もっと風が強いとどうなるのかは今後要検証。横風の影響を受けにくいという触れ込みのリムなのだが、なにせ普通のカーボンディープを使ったことがないので比べられないw
  • 新しいおもちゃを与えられた子供状態で、走っているだけで楽しい。これこそがカーボンディープの最大の効果なのだろう(ぇ)

初回ライドまとめ

フィーリングはなかなか良好で、不満や問題は見当たらない。平地巡行の速度が上がるかどうかは、もうちょっと乗ってみてチェックしよう。ルックスに関しては若干の中二要素が入ってしまったが、文句なし。

爽やかな海をバックに重たいチャリの図

Elitewheelsでの購買体験

必要十分で文句なし。ホイールはリーズナブルな価格で十分な性能と品質だし、チャットでの対応は素早いし、(在庫があれば)発送も素早いし。期待通りである。星5つ★★★★★です。

そういえば最近のむラボさんのブログに「フリー側と反フリー側を間違えてスポークを張ってしまったEdgeのリアホイール」の話が出ていて若干の戦慄が走ったが、ウチに来た個体は大丈夫だった。大丈夫に違いないw

 

追記:検証ロングライドしました

tokyoeastside.hatenablog.com

追記2:ショップで見てもらいました(2024年初旬)

コケてディレイラーハンガーを曲げてしまったこともあり、一度ちゃんとショップに持ち込んでオーバーホールしてもらうことにして、その際にホイールもチェックしてもらった。診断結果は

  • リム、ハブ、スポークには問題はない
  • 重量バランスが崩れている。というか、組む前のホイール単体でほぼリムの重量が均等になっている。なのでディープリム用の長いバルブやバルブエクステンションとキャップを組み込むと、その重量でバランスが偏っちゃう。高回転になると縦フレするレベルなので、バランスとっておきました

ということであった。はい、そうかなと思ってました。ありがとうございました。お高いホイールは、最初からバルブでの重量増も考慮された作りになっているそうである。なるほどね...