室内自転車乗りのライドログ

室内でZwiftばかりしているインドアライダーのメモ。実走は春と秋だけ、年に数回。

フロントホイールのリムハイト50mmと38mmで横風の影響を比べてみた

リムハイト50mmはやっぱり横風を捌きづらく、38mmだと格段にやり易くなった、といういちホビーライダーの個人的な経験談です。

ディープリムで横風を受けると

さて過去のエントリにも書いたとおり「一回ディープリム使ってみたい病」に罹患した私だが、さりとて今からリムブレーキ用にウン十万するハイブランドホイールを買う気にもなれず、結局某Aliでお安めの50mmハイトのカーボンホイールを購入。見た目がイカつくなったマイバイクで利根川から荒川を周回し、一人直江津集合に挑戦し、富山から越前海岸ライドを楽しんでみたり、そして最終的には北海道にチャリを持ち込んでオロロンライン北上の夢を叶えたりなど、各所でライドを満喫した。

で、ライドは楽しかったのだが、色んな場所と条件で使って思い知ったのは、やっぱり「ディープリムは横風の影響をすごく受ける」ことだった。当たり前すぎる結果としか言いようがないが、まあこれも自分で体験してみてこそ腹落ちするというものである。そして「ディープリム横風問題」にはいくつかのバリエーションがあることが分かった。

  • それほど強くない横風でも、ハンドルがフラフラ揺れる感覚がある。進路が狂うほどではないが、あまり愉快ではない
  • 大型車が横を通過すると風圧でハンドルを取られる。車の速度が高い地方の幹線道路や、空間が狭いトンネル内などでは、油断していると走行ラインがズレるほど煽られることもあるので、段差や壁ギリギリを走行していると危ない
  • バイクの速度が上がるとフラつきやすくなる。特に、下り坂でペダルを止めて、リアの推進力がない状態でそこそこ速度が乗っていて、ここで横風が吹くと、独特のフワフワ感が生じて緊張感が高まる。頑張って峠を上ったあとのダウンヒルを安心してエンジョイできないのは何とも悲しいものである
  • 天気予報で表示されるところの「風速5m/s」あたりから、ハンドリングに影響が出始める。安定して5m/sの風が吹き続けるなら普通に対応できるのだが、当然ながら実環境の風には常にムラがあり、ランダムに8m/sとか10m/s級が混じってくるのが問題になる
  • 不意に進路がブレないようにハンドルをしっかり握り続けていると、当然ながら疲れてしまう
  • 10m/sを超えてくるとハンドルをホールドしていても進路を維持しづらくなる。瞬間的に混じる突風がヤバい
  • 15m/s超では走行ライン(というかバイクそのものの位置)が横に瞬間移動する。ローハイトリムの場合、ホイール部分は風が抜けるのに対して上半身はしっかり風圧を受けるので、風下側に倒れて落車しそうな煽られかたになるのだが、ディープリムの場合はホイール部分も効果的に風を受けるのでバイク全体が横に飛ばされるという違いが生じる。どっちにしても、こうなると走行不可能だが

風が弱い日を選べる日帰りライドならともかく、天候が読めない泊りがけロングライドにはディープリムは止めておくべき、というのが個人的な結論。

「横風に煽られる」とは

ディープリムで横風に煽られたときに受ける影響は、以下の2つにまとめられるように思う。

  1. ライダーも含めてバイク全体が横から押される
  2. ハンドル(フロントホイール)がブレて、自分の意図していない舵角になる

1についてはディープリムに限ったことではなく、横風によって全体が風下にプッシュされる煽られかた。対処としては風に逆らってバイクを倒し、体重移動でバランスを取りながら走ることになる。ディープだとより強く押されるので、比較的弱めの風でも影響が大きく感じられるが、ローハイト時と比べて挙動が異なるということはない。風が強くなりすぎるとディープリムではバイクが真横にスライドし始めてライド続行不可能になるので、そういう意味では「もう乗れませんという限界がディープリムだとより早く来る」と言える。

それに対して、2のハンドルがブレる問題はディープリムに特有で、ローハイトホイールだと結構な強風でもこういうフラフラ感は出ない。おそらく、自然の風は常に強さと向きが変わり続けるので、ホイール全体に均等に風が当たらず、場所によって異なる風圧がかかり、その結果ホイールの向きが細かく揺れて「ハンドルがフラつく」状態が生じるのだと思われる(個人の勝手な推測ですが)。このハンドル揺れには一貫性がなく、ブレ具合がランダムで読めないため、常に注意しつつ細かい修正を加えながら走ることになる。上級者だと技術と脚力でカバーできるのかもしれないが、ホビーライダーにとっては(特にメンタル面で)スリップダメージ状態になりライドを楽しめなくなってしまう。

ではどうするか

じゃあローハイトに戻しますか?いう話なのだが、見た目も含めてカーボンホイールの雰囲気自体は気に入っているので、ひとまず最小の差分として「フロントホイールのみを50mmから38mmに変更」を試してみることにした。メーカーも同じElitewheels。ハイト12mmの違いは果たしてあるのか?

今回の変更箇所

まずベースはこちらのElitewheels Flow S50。リムハイト50mm、前後重量1480g。

楽しくも厳しかった北海道ライド時のご尊顔

そして今回試すのは「フロントのみ」を38mmハイトに変更したもの。ENT-Rim brakeという名称でAliで売られている低価格帯製品で、前後セットでも5万円もしないベリーエントリーグレードのお買い得品である。都合よくフロントのみでフリマに出ていたのをゲット。ホイール重量は750g程度。

リアは50mmのままなので、思ったより見た目の印象は変わらない。むしろこっちのほうがバランスいいかな?

走ってみて

あえてライド中に10m/sクラスの風が吹くであろう日を選んで、定番の江戸川CRから利根川CRを走ってテスト。

吹きっさらしの利根川CR。この日は強い東風

うーん、かなり違う。すごく違いますよこれ。なんだこれ。

  • 風が吹けば、やはり横にしっかりプッシュされる。しかし、ハンドルのフラつき感がなく、ゆらゆらと震えるような挙動が出ない
  • ハンドルがランダムな挙動の変化を見せないので進路がブレづらく、制御しやすいので不安感が少ない
  • 風が強いこともあり、巡航速度の違いはよく分からない(笑)
  • リアホイールはハイトが高くてもあまり操作感に影響しない(しているようには感じない)

分かりやすく明らかな違いにちょっとビックリ。12mmの差で、こんなに違うものなのか?これならば、かなりの強風でなければ横風でも戦える。素晴らしい。見た感じの雰囲気もほぼ変わらないし。ダウンヒルでも同じかどうかは、またの機会にチェック。

まとめ

違いが明らかすぎるので、今後はフロント38mm、リア50mm常用で確定。フロントが安定しないと落車や事故のリスクが上がるし、ハンドルの制御を気にし始めると安心して踏めずに結局スピードも落ちてしまうので、リムハイトを下げてでもコントロール性を確保するのがトータルでバランスが良いと思われる。今回も普通の結論でした。

補足と推測

ハンドルのフラフラ感は、ディープリムだから、ではなくて、私が使ったホイールのモデルに特有である可能性もなくはない。くびれの入ったちょっと変わったリムのデザインだし。DT-SwissとかEnveのような一線級メーカーのワイドリム製品では急な挙動の変化が起きづらいようにデザインされていて、ディープリムであってもハンドルのブレが生じないよ、という可能性もある。そのうちディスクブレーキのバイクを新調することになったら検証してみたいが、いつになることやら。

 

では皆さん、よいライドを。