私の最初のロードバイクは知り合いからお古を譲ってもらったもので、そのバイクには最初からSPD-SLペダルがついていた。というだけの理由で10年ほどSPD-SLを使い続けてきたのだけど、ロングライドの距離が伸びるにつれて、これはトータルバランスではSPDのほうがいいんじゃないか?と思い始めたので購入して使ってみて、結局乗り換えた。その際の比較結果をメモ。
ちなみに筆者はレースをせずスプリントする機会もなく、淡々としたロングがメイン。
SPD-SL (PD-6800+黄クリート)
いいところ
- ライド中のフィールはとても良好。足の裏の面でペダルを踏めている感触があり、ダンシングもしやすい
- クリート位置の微調整がしやすく、3か所のボルトでしっかり固定できる
- シマノの黄色クリートなら足首がまあまあ動かせる
- ペダルが軽いだけでなく、シューズも軽い(軽いシューズの選択肢が多い)
- かっこいい(個人の感想です)
- ビンディングシューズじゃない靴(スニーカーとか)でも結構普通に漕げる
そうでもないところ
- バネを一番弱くしても、はめるときも外すときもある程度の力が必要。100km以下のライドなら特に問題はないのだが、200kmを超えて一日中走るライドになると左足の足首に若干の疲労感が出てくる。あと都内の信号峠で着脱を繰り返すのがダルい。しっかり固定することが目的のシステムなので、当然ではあるのだが
- 短距離なら歩けるけど、でもやっぱり歩きづらい。色々気をつかう。タイル系の上だと滑るので注意が必要。特にトイレとか濡れた草地はすごく危ない。アスファルトでは雑に歩くとクリートがゴリゴリ削れる。飲食店や公共施設に立ち入る際には、床の材質によってはかなり気を遣わねばならない、というか最悪入れない可能性もある。対策はクリートカバーだが、常時持ち歩くのはダルい
SPD (PD-A600+シングルリリースクリート)
いいところ
- SPD-SLには及ばないが、十分に面で踏んでる感あり。淡々と回すロングライドなら全然問題はないし、坂でもガン踏みしなければ不足は感じない
- クリートの着脱が軽い。ロングライドの終盤も疲れにくい。普通に回して軽くダンシングする程度であれば走行中に外れるようなことはなく、固定力も十分にある
- クリートの金属部分が出っ張っていないので遠慮なく歩ける。歩きやすさはシューズのソールの硬さ次第ではあるが、少なくともSPD-SLに比べると気が楽でいい
- クリート位置を左右方向に調整できる。SPD-SLでは前後と角度は調整できるが、左右にずらせる余地はほとんどない
- ロードバイクとの見た目の相性も悪くない
そうでもないところ
- 走行中の踏みやすさやフィーリングだけで言うと、SPD-SLのような人馬一体感はない。が、慣れれば概ねOKだし、ガンガンに踏まないならば特に不満はない。どのくらいストイックに走りたいか次第である
- 片面ペダルで、なおかつクリートが金属なので、キャッチミスによってペダルの裏側があっという間に傷だらけになる。傷がついても故障するわけではないので、気分の問題だけど。そのせいか、中古価格がかなりお得な気がする
- 前述のとおり、歩きやすさはシューズの選択次第で結構変わる。靴底が硬いシューズはグリップしないので、SPDであってもSPD-SLと同じように滑りやすい点に気をつけよう。短距離グルメファンライドを楽しむのがメインの目的で、ライド先で歩き回ることを重視するなら、スニーカーやトレッキングシューズに近い、ソールが柔らかくてグリップ力があるモデルを選ぶべし。私はシマノRX6のブラックを選択した。軽くて適度に剛性が高くて、控えめな迷彩柄がロードにも似合って中々のお気に入り
- ペダルの裏も表も平らではないので、普通の靴だとペダリングしづらい。ちゃんとしたライド以外にも、ちょっとそこまでお出かけという目的でロードを使いたい人にとっては、(SPD-SLと比べて)少々不愉快なペダリングになるだろう
SPD (PD-M520+シングルリリースクリート)
いいところ
- 両面ペダルなので(練習しなくても)キャッチしやすい
- 値上がりはしているが、それでも安い。2023年7月現在、新品でも5K円程度。傷や故障を気にせずガンガン使える
- しかしながら丈夫で全然壊れない。低価格帯のエントリーモデルだがもの凄い安心感。さすがシマノである
そうでもないところ
- さすがに若干重い。MTB向けのエントリーグレードだから仕方ないが
- 点接触感が(比較的)強い。面で踏めない。終日ロングライドになると接触点を中心に足裏の疲労を感じる
- ビンディングシューズではないフラットソールの普通の靴だと極めて乗りづらい(あたりまえ)
- ロードにはちょっと似合わない(個人の感想です)
おまけ:SPD-SLのライトアクションという選択肢
実はシマノからはペダルの固定力を軽くしたSPD-SLペダルが販売されている。現行モデルだとPD-RS500がそれに該当する。これ。
ショップで試したところ、確かにアルテグラよりは軽い。SPD-SLの踏み面の広さというメリットをキープしつつ着脱を軽くしたいなら、このライトアクションペダルは選択肢になるかもしれない。問題はちょっと重いこと。PD-RS500は320gある。
まとめ
「ロードバイクでのロングライドを快適にする」ことを目的にすると、SPDの片面ペダル+軽めのシューズが自分には一番合っているようである。ペダル本体は十分軽量で、シューズもシマノの中位以上なら軽量モデルがあり、ペダルリリースの軽さと固定力のバランスが良く、歩きやすい。クリートは金属で減りづらく耐久力がある。一方、純粋に走行フィールだけを考えればやっぱりSPD-SLが最高なので、こちらは引き続きZwift用として使い続けようと思う。