室内自転車乗りのライドログ

室内でZwiftばかりしているインドアライダーのメモ。実走は春と秋だけ、年に数回。

AliexpressでElitewheelsのカーボンホイールを購入したメモ:選定と購入と到着まで

室内でZwiftばっかりしていたら(当社比で)ロングライドで脚が残せるようになってきて、そうなると近頃は距離を伸ばしたい願望が強まってきた。その結果「ディープリムホイール履いたら平地の巡航速度が上がるのか確かめてみたい現象」が発動して、なんか勢いでポチってしまったのでそのメモを書いときます。ディープリムは巡行40km以上じゃないと効果ない、横風で土手から飛ばされる、ダウンヒルでリムが溶ける、みたいな情報はたくさん目にしたんだけど、自分で試してみたくなり。あとはいずれバイクを買い替えると思うので、そこでエアロ系に行くかどうかの判断材料にしたいなと。

ホイールにまつわる筆者スペック

ロードバイク歴13年くらい。マイペースのポタばっかり。カーボンホイール未経験者。愛機のCanyon Ultimateに付属してきたMavic キシリウムエリートを長らく使い続けている。ダウンヒルではブレーキをずっと当て利きしちゃうタイプ。レースはせずアタックやスプリントをすることもないので、ホイールの反応性や剛性のことはあまりよくわからない

買ったもの

Elitewheels(エリートホイールズ) Flow S50。母艦がリムブレーキなので、ホイールもリムブレーキ版を購入。カーボンディープを試してみたいというだけの目的なので、有名ブランドのリムブレーキホイールに今から高額投資する気にはならず、ある程度販売実績がありつつ安価に試せそうなここにした。そういえば今年はサイクルモードでもブースを出していましたな。

ELITEWHEELS RFC PRO AERO Ceramic Bearing Road Bicycle Carbon Wheelset FLOW S40 S50 Tubeless Rims Pillar Wing20 Spoke UD+A1 Brake| | - AliExpress

なんか知らんが空気の流れが良い感じらしい

まずまずのミドルグレードスペック

購入時はちょいセールになってて73,000円くらい。リムハイト50mmのカーボンホイールで1470g、スポークはPillar Wing20。リム幅は内径18.5mm外径28mmと、今っぽい仕様を押さえながらこの価格はなかなか悪くないと思う。

なのだが、このホイール全く売れていない。リリースされてから1カ月半ほど経つがまだ販売数ゼロで、多分私が最初の購入者である。理由はおそらく、ほぼ同一価格帯で「Edge」というモデルが50mmハイトで1325gというハイスペックで売られているから。Flowより150gも軽い。スポーク本数もFlowの20-24に対してEdgeは18-21だし、そりゃみんなEdgeのほう買うわ。実際Edgeはこのブログを書いている時点で50セットほど売れている。Ali上ではFlowはEdgeよりも1か月ほどあとにローンチされた後発組なので、何かしらEdgeよりも競争力があるということなのだろうけど。どういう商品戦略なのでしょうかElitewheelsさん。

と言いつつなんで筆者はFlowにしたのかというと

  • 商品説明の「こいつのリムはカーブしてるから横風を上手に受け流せるんやで。頑丈にもなるんやで」というマーケティング文句を真に受けた。初めてのディープリムで横風を心配する初心者の不安を巧妙に突かれた形。ちなみにEdgeは普通のラウンド型リムである

    分かるような分からないようなエアロ効果の図
  • もっさり感は味わいたくないので、今使ってるMavicのキシリウムエリート(1540g)よりも軽量であることにはこだわりたい。しかしEdgeはさすがに軽量すぎて耐久性に(根拠のない)不安を感じたので、頑丈そうなこっちを選んだ。実際に丈夫かどうかは全然分からんけども...
  • リム内径が18.5mmなので、新ETRTOの28Cを合わせたときにタイヤ幅がホイール幅以内に収まりそうな気がした。ちなみにEdgeは19.5mmである
  • 誰も購入者がいないので逆に面白そう。Elitewheels自体はまずまず販売実績があるブランドなので、このモデルだけ爆死ということもあるまいと希望的に推測した

発注と発送と到着

Elitewheelsのホイールは、リムハイトやリム幅などの豊富なオプションが用意されていて、購入時の条件指定が細かくなるものが多い。しかしこのFlowはリムハイトを40㎜か50㎜で選ぶだけなので、特に難しいことはない。おそらく希望すればハブを変えたりニップル穴ナシを指定したりカスタムができるのだろうけど、私は50mmを指定してデフォルトのまま購入。ポチー。

ポチってしばらくすると仕様確認のメッセージが来る

 

この仕様でOKと返信し、注文が確定する。ちなみにAliのElitewheelsでチャットに対応してくれるのはいつ何時でもSukieだが、多分中の人は複数いるパターン。

ホイールの作成に15-25営業日、配送に25-50日かかるよという話

他のブログ等を見ても到着までは一カ月程度はかかるようなので、茶でも飲んでゆっくり待つことにしよう。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました

あなたの注文は発送されました

えっ?注文確定したの昨日ですよ?これは何かの誤爆でしょうね。ということで慌てず騒がずSukieさんに「これ発送されたのマ?」と聞いてみたところ

マジで翌日発送されていたの図

「在庫があったから即発送したぜ!!良かったな!」とのこと。不人気でカスタムの幅がないモデルを頼むとこういうメリットがあるのね。発送後はEMSさんの本領が発揮されてあっという間に東京に到着し、結局注文から10日で入手に成功。

憧れの農林水産省の図。デカいが軽い箱

お支払いした関税(消費税?)は1300円。リーズナブルである。長くなりそうなのでバイクへの装着とファーストインプレッションは後編で。

tokyoeastside.hatenablog.com

Zwifterがいきなりロングライドに行く実証実験 都内から山梨 距離200km獲得標高3000m挑戦

#長いです

普段Zwiftしかやらない温室インドアライダーがいきなり実走ロングライドに行って無事完走できるのか実証実験するシリーズ、今回は半年ぶりの実走で都心から山梨県の峠を巡るコース。ソロで黙々と走り、ライド中にあんまり写真を撮らないので、Google Street Viewの引用が多めなのはご容赦ください

最初に注意事項

山梨の旧道系の峠の多くは、毎年12月から「4月中旬まで」冬季通行止めになります。山国の冬は長いのです。3月にもなるとポカポカ温かい日もありますが、陽光の中を鼻歌交じりで登っていくとゲートがドーンと閉まっていて衝撃を受ける展開になります。自転車は通ろうと思えばゲートの横から入れてしまいますが、トラブルがあっても(多分)誰も助けに来てくれませんし、危険なのでやめましょう。通行止めの場所とスケジュールを事前に確認した上で計画を立てましょう

www.pref.yamanashi.jp

筆者スペック

  • 実走には全然行かず、週4くらいで自宅でZwiftをしている。一回のZwiftライドは1時間から1時間半程度。たまに3時間級のライド。BCのペーサーライドまたはSST(Med)が中心
  • 体重60kg。ZwiftでのFTPはSaris H3計測で3.8w/kg。3時間平均出力3.2w/kg。レースはせず、スプリントはしないというかできない。インターバルも苦手で上げ下げに弱いが、レースをしないのでまあいいかと思っている
  • 厳しい環境に弱い。都内の混雑した道が苦手。夏の暑さと冬の寒さ、強い日差しと強風への耐性がない。春と秋の良く晴れた爽やかな風の弱い日にしか外に行こうとしない

今回の計画概要

大月河口湖ライドプロフィール

www.strava.com

  • 4月後半の、とある良く晴れた風の弱い平日に決行。予めコースの下調べと準備をしておき、コンディションの良さそうな日を狙って直前に有休を取得して挑む方式。日中の気温は15℃から22℃程度の予報
  • 文京区あたりをスタートして西に進み、尾根幹から津久井湖相模湖を経由して県道35号線を通りつつ一旦大月を通過し、御坂峠を回って河口湖に至り再び大月に戻ってフィニッシュする計画。帰路は大月から輪行で新宿まで戻り、ちょっと自走して帰宅する
  • 距離200km、獲得標高3000m。雛鶴峠、笹子峠、御坂峠の3つの峠を越える、自分としては結構なチャレンジングルート。しかし仮に途中でへこたれたとしても、ほぼどこからでも輪行で逃げられるルートなので大丈夫だろう
  • 路肩が狭くて交通量が多い道が苦手なので、たとえ距離が伸びても坂があっても、できるだけ走りやすいルートを長くとる。都心から甲府方面を目指すなら新宿に出てひたすら甲州街道(国道20号)を走るのが平坦でシンプルだが、これはやらない

なんでこのコースなの?

  • かつて遠い昔にろくな準備もせずに御坂峠に登ってボロボロになったことがあり、いつか再び自走でチャレンジしたいと長らく思っていた
  • 前回ライドの実績から、距離160km、獲得標高1500m(都心から秩父往復)を比較的余裕を残して楽しく走りきれることが分かったので、じゃあもうちょっといけるんじゃねと思い始めた。今回のルートは全部自走すると300kmとなり、さすがに無謀だろうから日没前にフィニッシュできそうな200km地点で終了し帰路輪行と設定した(新宿駅からの帰宅自走はライドに含めないものとする)
  • ストリートビューとにらめっこして大型車が多い片側一車線の幹線道路をできるだけ避けてルーティングしたらこうなった

マイ相棒

Canyon Ultimate CF SL 9.0 (2014年式)。サドル以外はほぼフルノーマル。紐アルテ6800系、フロント52-36T、リア11-28T。軽くて良く走る。近頃は半年に一度しか乗ってなくてすまぬ。気づいたら結構古くなってきたけど、自分の乗り方だと全然不足は感じない。しかし一度ディープリムを履かせて、どう変わるのか試してみたい願望はある

荒川河口付近でのマイチャリ

前日の準備

早朝に出発するので、準備は全て前日に済ませておく。バイクの整備、輪行グッズのチェック、サドルバッグへの荷物詰込み、デバイス類の充電、Garmin Edgeへのルート転送、ウェア類の用意、財布の中身チェック、朝食用菓子パンの用意などなど

装備品

  • 自転車に装着するもの
    • ツールボックス(パンク対応用パーツ、工具類、電池、現金の予備)
    • ドリンクボトル 750ml
    • サイコン Garmin Edge 1030 Plus
    • フロントライト Cateye Volt 400
    • リアライト Topeak RedLite
    • スピードセンサー XOSS
    • サドルバッグ オルトリーブ Lサイズ
      • 輪行セット オーストリッチのド定番のやつ
      • エコバッグ1枚 小さく畳めるやつ
      • クリートカバー 帰路輪行時用
      • ミニようかん 2本
      • メガネの替え 日没後用にスモークが入ってないやつ
      • ウインドブレーカー カペルミュールの小さく畳めるやつ
  • 自分で持つもの
    • 心拍計 (手首に巻くやつ)
    • スマホ2台 汗対策でジッパー付きビニール袋に入れて背中のポケットに
    • 財布 現金と小銭(自販機用)、保険証、クレジットカード、Suica
    • ワイヤーロック
    • 鍵束
    • ミニようかん 4本
    • ミニタオルとミニティッシュ
    • マスク (コロナ明けなので多分いらんが念のため)

ライド当日

午前4:45:いざ出陣

本当はもっと暗い。サドルバックはオルトリーブのL

朝4時に起床。わたくしは朝が弱いので非常にキツい。ウェアに着替えてアンパンとクリームパンを豆乳で流し込んで4:45に出発。事前の予報のとおり、気温15℃でほぼ無風と良コンディション。日の出を迎えて徐々に明るくなっていく新青梅街道を西に向かう。早朝なので交通量が少なく、路肩に自転車レーンが設けられたエリアも多くまずまず走りやすい。淡々と進んでいく

午前6:00:三鷹あたり (15km地点)

武蔵野中央公園で南に折れて、武蔵境通り(都道12号線)を下って深大寺調布駅の横を抜けていく。この通りは信号が多く、さらに赤信号連発で全く速度が上がらない。しかし先は長いので無理に加速せず抑えて走る。並足ライダーのロングライドの鉄則はゼロスターダッシュをしないこと。6時を過ぎて、路上は早くも通勤&業務用の自動車で混雑し始めている。

黙々と走り多摩川原橋で多摩川を越える。早朝練習と思しき本気度の高いロードバイクの集団と何度かすれ違いつつ、南多摩尾根幹線道路に入っていく。初体験の尾根幹にテンションが軽く上がりつつ、細かいアップダウンをこなして西に進んでいく。ちょうど30km地点にあったローソンでトイレ休憩してオレンジジュースと羊羹を補給。ここまでの平均時速は16km/h。うーむ、全然進まないな(笑)

午前7:30:橋本近辺 (40kmあたり)

尾根幹を抜けて橋本エリアに入る。通勤時間帯を迎えた歩道のバス停にはバスを待つ学生と会社員の長蛇の列ができている。信号が多くて狭い片側一車線道路ではすでに渋滞が始まっていて全然進まないが、安全第一なのですり抜けは控えて大人しく車列に従って緩いストップ&ゴーを繰り返す。平均時速は15km台に低下。

なんとか橋本を抜けて津久井街道(国道413号線)に入り、津久井湖を通過していく。これで市街地は抜けたからここからは快適なライドになるでしょう、などということは全然なく、相模湖に近くなるまで車列が途切れず続きバスやトラックも結構多い状況が続く。端っことはいえさすが神奈川県である

午前9:00:相模湖通過 (65km地点)

相模湖畔。まだまだ序盤である

 

ようやく相模湖に到達。スタートから4時間経過して平均時速は依然16km/h。当然ながら、荒川や利根川中心に走るのと比べてペースがかなり落ちる。ここからは信号が減って走りやすくなるけど、代わりに登りが始まっていくので、おそらくこれ以上ペースは上がらないだろうなと考えて若干気が重くなる。しかしここまで来てしまったからにはもはや征くのみなので、気を取り直して再スタート。路肩が狭くダンプトラックが多めな国道20号を30分ほど気をつけて走り、藤野駅あたりで南に折れて山梨県道35号線を目指す

午前10:00:饅頭屋さんで補給

県道35号線は交通量が大変少なく景色ものどか。ようやくリラックスして、サイクリングを楽しみつつ快調に進んでいく。とはいえ雛鶴峠に向かって長い登りが続き、油断すると踏みすぎになるので、心拍数がZ4中盤を超えないように自制していく。

山間の饅頭屋

事前にチェックしていた「王の入まんじゅう」屋さんが開いていたのでアンマンを購入。味は特別どうこうというほどではないが普通にうまく、ボリュームがあっていい補給食になった

午前10:30:雛鶴峠クリア (90km地点)

新雛鶴隧道。トンネル内はまあまあ明るい

最初のピーク、雛鶴峠に登頂。頂上に向かって徐々に傾斜がきつくはなるけど、とはいえ激坂ではないので、心拍数にだけ気をつけつつ淡々と走ってクリア。特に眺望がいいわけでもなく、走るだけである。トンネルを抜けると長いダウンヒルのスタート。逆側から登ってくるサイクリスト集団に手を振りつつ、リニア実験線の横を通過して大月方面を目指して下っていく。国道139号線を横切って、富士急禾生(かせい)駅で踏切を渡ってリニア見学センターそばの裏道を経由して20号線に出て笹子峠を目指し西に曲がる

午前11:00:大月通過 (105km地点)

楽しいダウンヒルのあとは、再び国道20号線に合流して笹子峠を目指して緩い登坂が始まる。やはり大型車が多く、狭い路肩には砂利が溜まりがちなので注意を払って走る。右手の高台を特急あずさ(もしくはかいじ)の長い編成が軽やかに駆け抜けていくのを横目に見つつ、上り基調を黙々と漕ぐ。左手には笹子川が流れているが、取り立てていい景色というわけでもないので、ここでも修行のようにただ黙々と漕ぐ。

笹子峠旧道の分岐から先は車が全く通らなくなり、誰もいないつづら折りをこれまた黙々と登っていく。なんで有休を取ってわざわざこんなことをやっているんだろうという自問自答が始まるが、こうなってからがロングライドの本番である(笑)

午後12:45:笹子峠クリア (123km地点)

笹子峠は雛鶴峠よりは距離が長く斜度も若干上がるけれど、とはいえ10%超の傾斜はほとんどないし、勾配の変化も小さい。サイクリストはおろか車もバイクも通らない静かな坂を、ペースを守って軽いギアで淡々と走って登頂。大月から1時間半以上登りっぱなしで来たのでそれなりの疲労感がある。記念撮影して羊羹を補給し、隧道を抜けて再び長いダウンヒルを開始する。最大の御坂峠がまだ控えているので、握力を消耗しないようブラケットポジションを避けて下ハンブレーキングで下っていく。インドアのZwiftではブレーキングを全くしないので、いざ実走に行くとすぐに手が握りづらくなったりする。特にダウンヒルは要注意なのだ。

レトロな佇まいが美しい笹子隧道

旧道のつづら折りを抜けると再び20号線に合流。線形が良くなり交通量も若干減るので、少々スピードアップしてダウンヒルを飛ばしながら、いよいよ甲府盆地に突入する。ここでの問題は20号線の勝沼バイパス区間。一応ルール的には自転車走行が許可されているようなのだけど、Webで調べても今一つクリアな情報が得られない。さらにストリートビューで見る限りでは左側に高速への分岐や合流があり、モロに自動車専用道で横を大型車がスッ飛んでいく雰囲気満々だったので、安全を取って迂回することにした。

ここでバイパスを左に外れて、狭くうねった歩行者専用道を抜け、バイパスの先に出る。犬を散歩させてる人などがいるので走行には注意。

自転車で勝沼バイパス横の側道を抜けるルーティング


ちょうど良くトイレがあるので3分休憩を取り、すぐ左に曲がって20号を外れ、フルーツ狩りの観光農園の看板が立ち並ぶ中を抜けていく。山梨の地元ナンバー車は自転車を大きくよけてくれるので安心して走れる。ありがたいことです

午後1:30:御坂峠へのヒルクライム開始 (140km地点)

果樹園の間を山を回り込むように走って進路が南向きに変わり、正面に山が見えてくると、いよいよ最後のヒルクライムのスタートである。登り口の自販機でしっかり給水してボトルを満タンにし、羊羹を補給する。

Gamin Edgeさんがここぞとばかりに「ここから17km登りですよ!」という激萎えのヒルクライムプロファイルを表示してくるが、目的地を前にしてテンションが疲労を上回っているので半笑いで登っていく。

甲府方面から御坂峠へのアプローチは「御坂みち」と呼ばれる国道137号線を通るのが分かりやすいが、比較的新しい道路であんまり面白みはない。なのでまずは並走する狭い旧道に入り、古い家並みの集落を抜けつつ走る。

旧道の終わりで国道137号線に合流してさらに登っていく。国道137号は甲府と河口湖を結ぶメインルートになっているせいか大型車を含めて交通量は多い。幸い歩行者は誰一人いないので、ありがたく歩道を存分に使わせてもらう。勾配は多少の増減はありつつも大体6%くらいで、一部8%の区間がある。長い登りで腰と背中に疲労が溜まってくるので、ダンシングを入れてごまかしながら黙々と走る。4月とはいえ陽射しのもとでのヒルクライムは暑く、あっというまにボトルのドリンクがなくなっていく。途中の自販機で再び水を補給。今回のルートでは道沿いに終始自販機があるので飲み物が尽きる心配がなくてかなり気が楽。自販機王国日本バンザイ。

山梨ではよくお世話になるハッピードリンクショップ(という名の自販機コーナー)

午後2:20 御坂みち旧道入り口 (150km地点)

「本日天下茶屋商い中です」の看板を確認して、ついにラスボスとの最終決戦。御坂峠への旧道に突入する。車は全く通らなくなり、コース独り占め状態。野鳥の鳴き声だけが響くなかをまたもや黙々と進む。ラストクライムなので気持ち的にはもうちょっとスパートをかけたいのだが、さすがに疲労しているのか大したスピードも出ていないのに心拍数が上がってしまう。インナーローに1枚残しくらいでペダルを回し、30分ほどかけて登頂成功

北向きで見事に苔むした甲府側のトンネル入り口

午後2:50 御坂峠登頂 (156km地点)

黄砂で霞み気味な富士山

思ったより明るい山頂の隧道を抜けて、ようやく河口湖側の御坂峠に到着。道の左側に天下茶屋があり、右手には雪をかぶった富士山が白く霞んで見える。うむ、これじゃ。これこそが御坂峠よ。黄砂が飛んでいて視界が良くないのがちょっと残念だが、これもまたよし。記念写真を何枚か取って、他に誰も客がいない天下茶屋に入り、いも団子、ほうとう、ホットコーヒーを注文した。のだが、注文したところで店員さんから「ちょっと店を閉める準備をするんでうるさくなりますけど、気にしないで食べてくださいね」とのコメントがあり、なんと15時ラストオーダーであることが判明。あぶない、超あぶない。本当にギリギリやんけ。完全に調査漏れで危ないところだったが、何はともあれ滑り込めて良かった。皆さん目的地が施設である場合はちゃんと営業時間を調べておきましょう。

アツアツのいも団子バター乗せ

滋味極まるほうとう。涼しいロングライドとの相性は最高としかいいようがない

そしてロングライドの果てにたどり着いたほうとうは当然ながら最高に美味い。バターがたっぷり乗ったいも団子も次々と腹に吸い込まれていく。ホットコーヒーが沁みる沁みる。本日唯一の腰を下ろして食べるまともな食事を堪能して、この店は本当に昔から全く変わりませんね的な話をご店主と交わして出発。さてここからは大月駅を目指して下り基調の40kmの道のり。予定より時間が押しているけど、多分5時頃には着くだろう。落車は絶対に避けねばならないので、安全運転を今一度肝に銘じてダウンヒルを開始する

午後4:00:河口湖大橋通過 (170km地点)

長い御坂峠のダウンヒルを下ハンブレーキで慎重に下っていく。マジで長い。こんなに登ったっけ?腰がピキピキしはじめるが、ブレーキングが優先なので耐える。たまに左手に視界が開けて見事な富士山が見えるが、ダウンヒル中なので路面に集中する。つづら折りをようやく抜けて国道137号線に再合流するが、まだまだ下りが続く。線形が良くなるので油断するとスピードが出すぎて危ない。路肩を安全にキープできる速度を守って下っていき、山宮トンネル手間で右に折れて河口湖大橋を目指してさらに坂を下りていく。河口湖近くの集落まで降りてきたところで後ろから追い越していくプリウスにクラクションを鳴らされ、見ると閉店作業を終えて帰宅する天下茶屋のおっちゃんが手を振ってくれていた。こちらも大きく手を振り返す。心が温まる良い話である。河口湖大橋を超えて湖沿いの観光地エリアに入ると外国人観光客で大混雑。バスはどれも満員だし、コロナ明けおそるべし。河口湖畔からしばらくは片側一車線の街中で普通に車も信号も多く、都内ほどとは言わないがストップ&ゴーが連発する。ここで急いでも仕方ないので安全運転で。

さて河口湖から大月に向かうには富士みち(国道139号線)が定番ルートなのだが、ここもやっぱり路肩が狭く交通量が多そうなので回避。高速に沿って走る県道718号線に入り、そこからずっと高速脇の道を降りていく。

このルートは信号も交通量も少なく、ほとんど下りなので走りやすい。視界良好な下りが続き、安心してヒャッハー感を満喫できる。ただし路面が悪いところがありバイクが跳ねるので、あんまり油断はできない。こういうときはワイドリムに28Cタイヤで乗り心地のいい今時のバイクが欲しくなる。都留グリーンゴルフ(打ちっ放し)横に一か所だけまずまずの登り坂があるが、ダウンヒルで脚が復活しているので全部ダンシングで今日イチの出力で突破。

午後5:00:大月駅にゴール (200km)

ゴール。観光客と地元の人で普通にごった返す大月駅

本日二度目の富士急の禾生(かせい)駅を過ぎると大月駅はもう目の前。何時間か前に通ったルートで20号線に出て、10分もかからず大月駅に到着。ご苦労様でした。コーラのボトルを一気飲みしてから輪行の準備を始める。しかし、ただでさえ実走を全然していない上に、輪行ともなると数年ぶりで、いざやってみると手際がものすごく悪くなっていることに愕然とする。30分以上かかってバイクをパックして、切符を買おうとしたら目の前であずさが発車していきしょんぼりするが、まあ仕方ない。次の特急は45分後。人気路線なので特急の本数も多い。外国人観光客で賑わう駅のホームで大人しく次のあずさを待つ。

到着したあずさは満席。自転車を置く場所がないだろうから新宿までデッキで立ったまんまだな、と思って乗り込んだが、幸いにも車両最後部の座席後ろのスペースが空いているのを発見した。座っている人に一言断りを入れてバイクをそこに置き、自分の指定席に座って窓の外を眺める。すでに日が暮れていたので景色が見えないのがちょっと残念。あずさはたったの1時間で新宿駅に到着。速い(笑)。

新宿駅でホームに降りたら一番前(代々木寄り)の階段まで進み、新南改札から出て目の前の広場のエスカレーター裏あたりでバイクを組み立てる。

新宿駅はどこも混雑していて輪行には向かないけど、この広場はスペースが広く、落ち着いてバイクパッキングができる。駅前の甲州街道からのアクセスも良い。新宿からは山梨長野方面にも房総方面にも特急が出ているので、ここを起点にした輪行はかなり活用の幅が広いのではなかろうか。などと考えつつ新宿駅から夜の明治通りを北上して帰宅。当然ながら人多い、道路混んでる、ママチャリが逆走&信号無視しまくりで、山梨とのギャップがすごい。夜の都内こわい。さあZwiftに帰ろう。次回の実走はまた秋かな。。

振り返りとまとめ

数字はこんな感じ。自宅に帰り着くまで全部含めると15時間半の大冒険。はっきり言ってすごく楽しかったし達成感が半端ないが、完全にロングライド欲求が満たされて溜飲が下がってしまったので、次回の実走はまた随分と先のことになりそう。

ライド総括

ペース配分と体力はどうだった?

未体験の獲得標高3000mということで、終盤にダメージが来ないようかなり慎重にペースをセーブして走り、結果として無事完走できた。というか結構元気でまだ踏める状態でゴールしたので、後から考えるともうちょっとペースアップしても良かったかなと思う。とはいっても前半の都内は頑張っても大して速度は上がらないし、後半はアップダウンばかりなので、今回はまあこんなもんだろう。初めて挑む距離と標高だったし、これでOKとする

道中の補給を振り返る

  • 道中で補給したもの一覧。合計2600kcal
    • オレンジジュース200mlパック×2本 (184kcal)
    • ワッフルいちごクリーム4個入 (451kcal)
    • 山崎製パン ミニようかん 小倉×2、塩×2 (700kcal)
    • 王の入まんじゅうのアンマン (推定300kcal)
    • 天下茶屋ほうとう&いも団子 (推定1000kcal)
  • 俗にロングライドでは「1時間に250kcal程度の割合で補給せよ」と言われている。今回は移動時間が10時間、休憩込みで12時間なので、まあこんなもんだろう
  • 毎度のことだがミニようかんが有能。コンパクト高カロリーで、背中のポケットに入れておいてサッと食べられて本当に便利。山崎製パンさんいつもありがとう
  • ドリンクは大量に補給していたのでよく覚えていないが、スポーツドリンクは500mlを2回摂取した。あとは全部水。ボトルは750ml一本で。

このルートの感想とか学びとか

  • とても楽しかった。が、もう一回走りたいとは思わない(笑)。都内は当然ながら交通量が多く信号だらけで進まないし、そこを抜けても大型車が多く路肩が狭い国道を走らざるをえない区間が長い。甲州街道は自分には合わない。次に山梨に行くなら最初から輪行甲府近辺までショートカットするだろう
  • 交通量が多い裏返しで、トイレ休憩や補給をいつでも取れるのはいいところ。ルートの大半で沿道にはコンビニが次々に現れる。後半にコンビニがないエリアに入っても、自販機がどこにでもある。峠道でのドリンク切れにだけ気を付ければOK
  • 河口湖近辺は古い市街地なので車と信号が多く路肩は狭い。湖の周りを走る分には優雅だけども。観光客がとても多いので周囲には常に注意する
  • 三つの峠はどこも特に眺めが良いわけでもなく派手な見どころはないけど、静かで黙々と登れて良かった。御坂峠の登坂はさすがに長く、特に前半は真っ直ぐ歩道を登っていくだけでステキな要素が全然ないが、頂上の富士山は(晴れていれば)素晴らしいし、天下茶屋ほうとうとホットコーヒーを目指して登るのもアリだと思う
  • たくさん登るのでダウンヒルも長い。出発前のブレーキの整備は大事。あと下ハンでブレーキングできる姿勢を維持するための腰と背中の筋肉も。ディスクブレーキならもっと楽なのかもしれない

実証実験結果

Zwiftしかやってなくても、距離200km獲得標高3000mは元気に完走できることが確認できた。とはいえ、バイクコントロールや自動車との連携といった、いわゆる「実走のカン」みたいなものは確実に低下していて、例えば後方確認で思ったよりフラつくとか、自分の脳内イメージと実際の挙動に若干のズレ感があるのは否めない。なので無理無茶をせず余裕のある走行をすることが大事だなと再認識。あと私の実走用バイクは比較的ハンドル高めのリラックス仕様だけど、Zwift用バイクはハンドル低め遠目でパワーが出しやすいセッティングにしていて、なおかつモニターを目線の高さにセットして常に顔を上げてZwiftしている。今回のようないきなりロングライドで首と腰と背中の筋肉を最後までキープできたのは、このセッティングによるところが大きいんだろうなあと思う。

さて、次回の実走はまた半年後の秋に。夏場はエアコンをかけてZwiftを楽しもう。

 

Zwiftを快適に楽しむための体温マネジメントと汗対策のメモ

良く知られているとおり、インドアサイクリングではいくら漕いでも全身に風を受けられないので、ちょっと頑張り始めると大量に発熱して自分で驚くほど汗をかく。この熱を適切に逃がさないとパフォーマンスが落ちるし、最悪熱中症になる。日々本気でレースイベントに血道を上げるガチZwiftersの間では近頃「レースの勝敗は冷房環境で決まる」と言われているらしい。

そして体温調整と同時に解決しなければならないのが、汗を大量にかきすぎる問題。汗の破壊力はおそろしい。有機物が微妙に混じった塩水は、周囲のあらゆる環境を実に効率的に腐食させていく。誰でも自宅の床を腐らせたくはないだろう。ここでは筆者の5年くらいのZwift歴で学んだ、体温と汗のマネジメントのノウハウをメモしておく。

まずは原則

汗はできるだけ蒸発させるアプローチを取り、その上で垂れたとしても直接自転車や床に到達しないよう頑張る。大量に汗が垂れるのはそもそも放熱が追い付いていないことを示しているし、垂れてしまうと周辺環境へのダメージが大きい。雨模様な日やガチ踏みするときには汗垂れはやむを得ないが、当たり前と思わずできるだけ減らす。

対策のポイント

  • 汗を蒸発させて体温を下げるには
    • 大風量を全身に浴びる
    • 室温を下げる
    • 湿度を下げる
    • (室温が高くても) 長袖のベースレイヤーを着る
  • 垂れてしまった汗をガードするには
    • ハンドルとフレーム前部にタオルをかける
    • 自転車の下にもタオルを敷く
    • やはり長袖のスポーツ用ベースレイヤーを着る
    • ライド後はすぐに拭き掃除をする

まず最初に:温湿度計を置く

客観的な事実の可視化と現状把握は何よりも大事である。まずはZwift部屋に温湿度計を置く。どの程度の気温と湿度だと自分に合っているのかを知るために温湿度計はマスト。ひとくちにZwiftと言っても、乗り手の出力やペダリング効率などによって発熱量は全然違ってくる。自分の乗り方にマッチする快適ゾーンを数字で把握しよう。

送風:工業扇風機をメインに、サブで家庭用扇風機

大風量を身体全体に受けることが重要なので、メインは風量を稼げる工場扇が適している。オレンジ色の羽根のアレである。首振り機能は使わないのであってもなくてもいい。風量調整はあればベターだが、ライド中に調整することはないので、これもどっちでもいい。調整は本体のツマミでしかできないので、ライド中に毎度降りて扇風機を調整してライドに戻るというルーティーンは現実的ではない。パワーコントローラーと組み合わせると工場扇の遠隔操作と無段階変速が可能になり、使い勝手が1000%アップするので、当サイトではこの方式を強く推奨したい。

tokyoeastside.hatenablog.com

家庭用扇風機は風量が足りないのでメインとしては力不足だが、サブとして体の側面など別方向から補助させるのは有効。サーキュレーターは体のごく一部にしか風を当てられないので、風を浴びている感は出るが、あんまり効果的ではない。

なお、十分な風を身体に浴びせても、部屋の換気が悪いとあっという間に温度も湿度も上がってしまい放熱ができなくなる。十分な換気ができる場所を確保するか、難しい場合はエアコンを使って温度と湿度を下げられるようにする。いずれにしても1時間を超えるライドでは換気をしっかりしよう。

温度調整:冷房/暖房を積極的に使う

日本の夏のインドアサイクリングはエアコン必須。ためらわず冷房を使おう。多くのエアコンは外気取り込みはしないだろうから、定期的に換気をすること。

冬場は走っていれば温まってくるので暖房不要だが、とはいえ室温が5℃以下みたいにかなり低い場合は風が冷たすぎて扇風機を回せない場合がある。この場合は無理せず少々暖房を使って室温を少し上げたうえで扇風機をしっかり回す。特に、寒くて湿度が高いパターンだと、風が冷たくてツラいのに大量に発汗してビショ濡れ、という厳しい状況に陥るので、暖房して湿度も同時に下げるといい。冬用のウェアをしっかり着用した上で扇風機を回すのも有効である。

春秋は当然ながら対策不要でヒャッホーすればいいが、雨の日は湿度対策をする。

湿度調整:除湿器はもはやマストアイテム

汗を蒸発させて体温を下げるために、非常に重要なのが湿度マネジメント。湿度が高いといくら強い風を受けても汗の蒸発が追い付かず、結果として体温は上がり足元には汗溜まりができてしまう。できるだけ部屋の換気を良くして、ライド中の湿度が上がりづらい場所に自転車を置きたい。

夏場はエアコンの冷房または除湿機能が効果的。リモコンのボタン一発で部屋を冷やしつつ湿度も下げられるので話が早い。

冬場は(多くの機種で)エアコン除湿は効きが悪くなる。ここでは「デシカント式」の除湿器が有効。デシカント式は寒い室内でもしっかり湿度を下げてくれるし、同時に熱を発生させて若干ながら部屋を暖めるので、特に冷たい雨の日のような場合に戦力になる。ちなみに除湿器は雨天での洗濯物の部屋干しにも活躍するので、この路線でプレゼンすれば家人の許可も得やすい。

ちなみに私の場合、部屋の湿度が70%を超えてしまうと、いくら風を強めても蒸発が追い付かず汗垂れ確定である。エアコンと除湿器をうまく使って、できれば50%台をキープしたい。ちなみに湿度30%程度だと、室温が30℃オーバーでも工場扇全開だけで汗が見事に蒸発していき、ライドも結構快適に続けられる。湿度の影響は本当に大きいのである。

服装:スポーツウェアをしっかり着る

扇風機の風を受けて汗を効果的に蒸発させるため、季節や室温を問わず上半身には長袖の吸汗速乾インナーを着用しよう。当サイトでは定番のアンダーアーマーヒートギアコンプレッションを愛用している。頭にも同じ素材のキャップやヘッドバンドなどをかぶる。下半身は比較的汗の量が少ないので、レーパンはフルでもショートでもお好みで。

上半身裸で漕ぐと肌に直接風が当たるので体感的には涼しくなって解放感もあるが、汗の蒸発効率が下がる上に床への汗垂れが増えるので推奨しない。腕を伝わって汗がハンドルに到達してしまう問題もある。

冬場は風が冷たすぎて扇風機の風量を上げられない問題が発生するので、自分の体感に応じてベースレイヤーの上に薄手のジャージ等を重ね着しよう。扇風機を回しても耐えられる程度のウェアを着てスタートし、体が完全に温まったら適宜脱いで横に放り投げておけばよい。

汗垂れ対策:床と自転車本体への直接の汗の到達を防ぐ

我が家では、自転車本体はタオル2枚でガードしている。まずハンドタオルを横にしてハンドルを防御し、その上から大き目のスポーツタオルをクロスでかけてヘッドパーツ周辺部とステム、フレーム前部とフロントタイヤをガードする。ハンドルはタオル越しに握る。そして自転車の下にもスポーツタオルを敷く。コンディションが厳しい日には2枚重ねにする。

タオルばっかりで一見なんだか分からない状態

バイクをZwift専用に出来る場合は、バーテープは取り外してしまうのが良い。バーテープは汗を吸い、ライドのたびに濃縮されていき、水分と塩分でハンドルバーを腐食させてしまう。そのままにしておくといずれ折れる。バーテープ有りのバイクでZwiftをするときには、バーテープにいかに汗を吸わせないか、に注意するといい。

自転車の下に敷いたマットはライドのたびに拭き掃除をするのが理想。さらに定期的にめくって扇風機の風を当てて乾かそう。特に汗が大量に垂れた場合はライド後にすぐ乾かす。特に「水分を吸うタイプのマット」で手入れを怠ると、最悪床材がを腐食させて回復不可能なダメージを与えるので、よくよく注意したい。

まとめ

Zwiftで暑いのを我慢してもいいことは何もないので、しっかり対策しよう。ライドのたびに巨大な汗だまりができたり、サドルの側にも汗が垂れたり、ソックスやシューズまでビショ濡れになる場合は、明らかに放熱が不足している。当たり前だと思わずに空調側で対策しよう。では皆さん良いZwiftライフを。

Zwift用の4K高画質安定環境を構築するメモ:2023年上旬版

高画質でヌルヌル快適にZwiftをプレイするためのノウハウは、すでにこちらのページにまとまっています。気合の入った素晴らしいコンテンツです。

Zwift on PC: The Ultimate Guide to Running Zwift at Its Very Best
https://zwiftinsider.com/zwift-pc-guide/

しかしながら英語で長いので、個人的な経験談とバイアスも交えて日本語で再編集したいと思います。このエントリーも結構長くなっちゃいましたが。

4K大画面のZwiftはいいですよ

最初に:Zwiftでの「高画質」とは?

キレイな表示で快適にZwiftをプレイするとはどういうことか。どの程度ならOKと感じるかは個人の感覚によるが、当ブログでは以下の条件をクリアしている状態としたい。

  1. モニタの解像度が4K(3840x2160)であること
  2. Zwiftの設定で「ゲームの解像度」が「4K UHD(2160p)」になっていること
  3. 安定して毎秒60フレーム(またはそれ以上)の描画を継続できること

タブレットやApple TVは「4Kで毎秒60フレーム以上」の条件を満たせないので、この時点でデバイスはWindows PC一択になる。では具体的には何をどう選ぶべきか見ていこう。

ちなみに、Zwiftは今どきのPCゲームとしてはかなり軽い部類に入る。いわゆる「ゲーミングPC」を持っているなら、おそらく余裕でZwiftを4Kで走らせられるだろう。

構築の流れ

  1. モニターを選ぶ
  2. パソコンのパーツを決める
    • ビデオカード
    • CPU
    • メモリ
  3. 設定をする

まずは希望するモニターのスペックを決めて、それに合うビデオカードを決める順序がオススメ。

モニターを選ぶ

ナイスな没入感のために一番大事なのがモニターである。4Kであることは大前提で、以下の3点を見つつ予算に収まるものを選ぶ。

  1. 画面の大きさ
    • Zwift用には大きいほうがベターだが、大きすぎてもダメ。設置場所と部屋の大きさ、自転車からの距離で決める

  2. リフレッシュレート
    • 画面を毎秒何回更新できるかという性能。固定と可変がある。可変だとカクつきを感じにくい点がオススメだが、本体価格が高くなり、可変レートに対応したビデオカードも必要になる

  3. PCモニタか液晶テレビか
    • PCモニタには画面描画の遅延が小さいという利点がある。一方でテレビには画質調整機能が豊富だったり、リモコンとスピーカーが付属するので操作が便利といった強みがある。後述

具体的な選択肢はざっくり以下の3パターンに分けられるだろう。

  1. ゲーミングモニタ
    • 高いリフレッシュレートと低遅延が強みだが、大画面となると価格がハネ上がるし選べる機種も少ないのが難点。サイズが30インチ程度でいいなら選択肢に入ってくるだろう

  2. VRR搭載の液晶テレビ
    • VRRは、Variable Refresh Rate(可変リフレッシュレート)のこと。ビデオカードと連動して動的にリフレッシュレートを変動させ、見た目のカクつき感を抑制する。大画面と(ある程度の)高いリフレッシュレートを両立できる。最近は4K/120HzのVRR搭載液晶テレビが普及価格帯に降りてきたので入手しやすくなった。注意点は、組み合わせるビデオカードもVRRに対応している必要があること(後述)。また、120Hzをうたっていても4K解像度になると60Hzまでしか出せない機種もあるので注意しよう

  3. エントリークラスのモニタまたは液晶テレビ
    • 60Hz固定の大画面PCモニタまたは液晶テレビ。入手しやすく選択肢が多く価格が安い。チューナーレステレビなら、さらに安価に入手できる

Zwift専用として使うなら、個人的には2番目のシナリオ(VRRなテレビ)で十分以上だと思う。3番目の低予算シナリオでも、だいたい60fpsを維持できれば良好なゲーム体験になる。ゲーミングモニタ、特に大画面のゲーミングモニタはZwiftだけを楽しむには少々オーバースペックになる可能性が高い。あなたが普段からPCゲームを楽しむゲーマーならばともかく、Zwift専用環境のために過剰な高級機材を投入しすぎないよう注意しよう。

また、ゲームをプレイするときはモニターの反応速度が大事で、遅延は極力小さいことが望ましい、と良く言われる(そして実際にそうだろう)。しかしZwiftだけプレイするなら遅延はそれほど気にしなくていい。Zwiftはミリ秒単位のレスポンスを必要とするゲームではないので。

メモ:Zwiftのプレイにおける「画面表示の遅延」の考え方

多くのZwiftユーザにとって、コンマ数秒レベルの遅延はプレイに影響がない。ZwiftはいわゆるOn The Rail(線路の上を滑っていく)タイプのゲームで、景色が一定の速度で常時流れていくシーンが大半を占めている。細かく複雑な操作はしないし、ゼロスピードからのロケットスタートや急ブレーキもない。よくある一人称視点のシューティングゲームのように、頻繁に止まって動いて、右に左に視点を回して、銃を構えて照準を合わせてピクセル単位の精密な射撃をすることもない。入力操作は基本的にペダルだけで、たまにパワーアップアイテムを使うくらいで、そこにミリ秒単位での機敏なレスポンスは求められない。そもそもスマートローラーのパワー計測単位がそんなに細かくないし。

なので、サクサクとしたレスポンスを意識して強力すぎるビデオカードや超低遅延なモニターを投入しても予算の無駄遣いになる可能性が高い。「操作に対する遅延」はPCゲーマーにとっては極力撲滅するべきものだが、Zwiftにおいてはそこまで重要視しなくてもいい。

もしあなたが心の底からZwiftレースに熱中していて、レースで有利になるならどんな小さな改善もいとわないぞ、というチームイネオス並みのマージナルゲインの体現者なら、最高のゲーミングモニタとビデオカードを用意して極限まで遅延を抑えるといいだろう。

メモ2:PCモニタと液晶テレビの違い

同じサイズであっても、PCモニタと液晶テレビには違いがある。自分に向いたほうを選ぼう。

  • テレビにはリモコンとスピーカーがついている。PCモニタはない(ことが多い)
  • テレビにはビルトインでYoutubeやらネトフリ視聴機能がついていることが多い
  • 多くの場合、PCモニタのほうが遅延が少なく反応が早い。例えばテレビでPC画面を映して操作すると、マウスカーソルが操作よりも遅れて動いたりする。これを解消する方法として、一部のテレビにはゲームモードなどの呼び名で低遅延モードが搭載されている
  • 初期設定では概ねテレビのほうがキツめの色彩設定(後から調整可能な機種が多いが)
  • テレビの入力方式はHDMI一択なことが多い。PCモニタはディスプレイポートやUSB-Cなど複数の方式が選べる可能性がある

パソコン作業用と兼用するならPCモニタにするとよい。Zwift専用で、プレイ中に音量を変えたりYoutubeを見たりする人にはテレビが向いている。

ビデオカードを選ぶ

モニタのタイプに合わせて選ぶ

あなたのモニタがVRR(可変リフレッシュレート)対応なら、ビデオカードもそれに対応したものを選ぼう。規格が複数あるので組み合わせを良く調査して決めること。特にVRR対応液晶テレビではHDMI2.1でVRRを使うパターンが多いため、NvidiaだとRTX30xx世代以降が必要になる。

60Hz固定モニタと組み合わせるならカードの世代は考えなくていい。シンプルに性能で選べばOK。

ベンダはNvidiaを選んでおくのが無難

Zwift世界におけるビデオカードベンダは事実上Nvidia一択である。Zwift側のサポート度合いと利用実績のどちらから見ても、NvidiaのGeforceシリーズを使うのが圧倒的に無難な選択になる。Zwiftでは画面のレンダリングにOpenGL 3.1を使うのだが、Nvidia以外のベンダのカードは長らくOpenGLのサポートが今一つだったため、ZwiftならとにかくNvidiaにしとけという風潮になっている。

AMD Radeonについては、2022年下半期にリリースされた新ドライバでOpenGLの最適化が施されて性能が格段に上がったので、今なら十分役に立つものと思われる。とはいえGeforceでは起きないマイナーなトラブルは多いようだし、フレームレートの振れ幅も大きいので、新しくZwift環境を組むにあたって敢えてRadeonを選ぶ理由はない。すでに持っていれば試してみよう、というくらい。

同じように、Intel Arcを選ぶ理由もない。ロマンとネタという意味ではアリだけど。750なら行けそうなのでちょっと試してみたい気持ちはある。

どのGeforceを選ぶか?

60fpsキープを基準にすると、性能面での最低ラインはおそらくGTX1070。あとはモニタの種別に応じて決める。

  1. VRR対応液晶テレビを使うなら、RTX30XXないしは40XXシリーズを選ぶ。G-Sync compatibleとしてカード側から認識されるモニタとの組み合わせになる。快適な高リフレッシュレートを堪能したいならRTX3060以上がオススメ。RTX3050でも戦えるとは思うけど。

  2. G-Sync/FreeSync対応PCモニタなら、それに対応しているGTX1070/1080またはRTX20XX以降の世代で、ディスプレイポートが搭載されているカードを選ぶ。最近のモニタはHDMIでもG-Sync互換で動くものもあるようなので、詳細は機種別に確認してほしい。正直変化が早くてついていけない。。

  3. リフレッシュレート固定(60Hz)のモニタ/テレビと組み合わせるなら、GTX1070以上の性能を持つカードを用意する。中古も含めて選択の幅は結構広い。

Zwiftで常時60fpsを達成できるNvidiaのカードは?

2023年上旬時点で、Zwiftで最も描画が重いワールドはMakuri Islandsである。ここで安定して60fpsをキープできればどのワールドでも性能はOKと言える。Zwiftalizerの情報をベースに判断すると、この条件を満たすNvidiaのカードはこんな感じ。

  • GTX1000系
    • GTX 1070無印が境界ライン。1070Ti以上がベター。1660 Super/Tiでも余裕十分とは言えないが頑張れる。1060 6GB以下は力不足

  • RTX 2000系
    • RTX 2060でうまく設定すれば概ね60fps安定。2060 Super/2070以上だと余裕があって安心

  • RTX 3000系
    • 3050で概ねOKだが、3060以上にしておくと心の余裕が持てる

  • RTX 4000系
    • なんでもOK

レイトレーシング等々の描画品質を上げるキャッチーな新技術はZwiftでは使われていないので、チップの世代が違っても出てくる絵はいっしょ。Zwift Insiderの元記事によればGTX 980でも戦えるらしい。なのでコスパ的には中古価格が大分下がったGTX 1080/Tiあたりが美味しいところだが、電力喰らいなので電源容量とケースの排熱能力には気を付けよう。

ビデオカードとCPUの組み合わせによって出せるフレームレートの情報はZwiftalizerのBenchmarkにサンプルが多数あるので、一通り眺めてみよう。P1 FPS(プレイ時間の中で最もフレームレートが低い1%の平均)が60に近い値を出せていれば、ひとまず合格ラインである。混雑するほどCPUの性能に引っ張られるというのは先に触れたとおりだが、同時にビデオカードの負荷も多少上がるので、基本的にはCrowdnessの設定はPacked(ギュウギュウ)かCrowded(結構混んでる)に設定した上で眺めるのがよい。

zwiftalizer.com

Nvidiaビデオカードでの設定

多くのPCゲーム系Webサイトでは、遅延を最小限にして(=ユーザの操作に対して素早く遅れずに画面が反応する)その上で最大限のfpsを確保しにいく方向で推奨設定を紹介している。しかし前述のとおり、Zwiftはミリ秒レベルでの反応性が求められるゲームではなく、サクサクは捨ててヌルヌル感を追求すればよいので、「遅延を許容してフレームレートの安定性を確保する」アプローチで設定を詰めることにする。

  • 低遅延モード:オフ
    • 少々遅延してでも滑らかなレンダリングが続くことを優先する

  • 垂直同期:適応または高速
    • 固定リフレッシュレートのモニタなら「適応」。一定のfpsを保って滑らかスクロールを狙いつつ、瞬間的にfpsが低下してしまった場合でもできるだけカクつき(スタッタリング)が感じられないようにする
    • 可変レートのモニタを使っている場合は「高速」で。条件によって変わるので一通り試してみるのがいい

  • トリプルバッファリング:オン
    • レンダリングを優先しスクロールを滑らかに継続させるための設定

  • ーチャルリアリティレンダリング前フレーム数:4
    • Zwiftに適用される項目なのかどうかイマイチ謎だが念のためおまじない

十分に強力なビデオカード(ざっくりRTX 2070/3060以上)なら、上記の設定に関わらず60fps以上のフレームレートを維持できるだろうから、細かいことは気にせずデフォルト設定で使えば良いだろう。

CPUとメモリを選ぶ

シングルスレッド性能が重要

Zwiftは3D描画にはGPUを使い、あなたの周辺で走っているライダーの情報処理にはCPUを使う。なので、CPU性能が低いと混雑したライドでフレームレートが落ちる可能性が高くなる。ビデオカードにいくら余力があってもダメ。同一コースを走ったときに、ソロライドでは滑らかなのにグループライドだとカクカクになるよ、という場合はCPUがボトルネックになっている可能性を疑う。

そしてこの処理はシングルスレッドなので、トータルのCPU使用率ではなく、コア単位での使用率を見る。混雑したライドでフレームレートが下がる傾向があり、なおかつライド中に特定のコアが100%使い切られる時間がある場合は、CPUの能力がボトルネックになってフレームレートが低下していると考えていい。

CPU使用率を見るときは、タスクマネージャでCPU全体の使用率を見て、25%しか使ってないからCPUには余裕があるな、と単純に判断してはならない。HWMonitorなどのCPUコアごとの使用率をモニタできるツールの情報を参考にする。以下はZwiftプレイ中のCPU使用率をHWMonitorで表示させた例。CPUはCore i3-12100Fで、4コアでHyperthreadingアリなのでOSからは8コアに見えている。最初のコアCPU0だけが使われていることが分かる。

Zwiftプレイ中のHWMonitorでのCPU使用率

従って、Zwift用に新しいCPUを導入するなら、コアごとのシングルスレッド性能が高い、世代が新しくて最大動作周波数が高いCPUが良い。コア数は気にしなくていい。というかコア数が多くても無駄になる。という観点で選ぶと

  • 予算が潤沢なら、第12世代のCore i5-12600Kあたり。Kナシでもいい。i7-12700Kならなお良いが、Zwiftのためだけに導入するには高価すぎる気がする。第13世代でももちろんOK

  • コスパ重視なら、Core i3-12100Fか13100Fが良い。シングルスレッドでの価格性能比が圧倒的。100名超のグループライドでも耐えられるので、Zwift専用に新しく組むならちょうどいいだろう

  • Ryzenは、最新の7000系ならばシングルスレッド性能も十分高いので候補になる。しかし新規導入となるとマザボも含めたトータルコストがIntel比で高くつくので、コスパ的にはZwift用に敢えて選ぶメリットはない

いわゆるSandyおじさんはZwiftでは通用しないので、早々に諦めてCPUとマザボをセットで新調すべし。

メモリは8GB以上あればよし16GB以上にしておく

Zwiftをプレイするだけならシステムメモリは8GBあれば足りる。と思っていたのだけど、改めてチェックしてみるとZwiftだけで6GB以上消費していて、システム全体では9GB以上消費していた。

まあまあメモリ喰ってた

なので最低16GB、できれば32GBにしておくと良いだろう。メモリは多くても困ることはほぼないし、近頃は価格も安いので。

PCケースとセッティング

ファンの音を気にせず風量優先で排熱をしよう

ラッキーなことに、Zwift用のPCを組むにあたって静音性を考える必要はほとんどない。Zwiftのプレイ中は、あなた自身に風を浴びせるためにオレンジ色の工場扇やサーキュレーターが常時唸りを上げているだろうから、PCのファン音は全然問題にならない。ここぞとばかりに回転数の高いファンを使ってしっかり排熱するべし。ミドルタワーで12cmファンを複数ブン回そう。細かいセッティングを煮詰める必要がないので、排熱マネジメントは楽である。

また、ビデオカードにはたまに高負荷時に「コイル鳴き」といわれるキーキー音を発する個体があり、一般的にはハズレとされ嫌がられるが、Zwiftプレイ中はこれも気にする必要はない。というか聞こえないので気にしようがない。コイル鳴きが理由で安く出ている中古品があったら、Zwift用になら掴んでもいいだろう。

参考:筆者の環境

ブログ主の環境:2023年初時点

見事に予算が限られていたので(涙)、松竹梅の梅コースである。低価格モニタで常時60fpsを目指すルート。

  • モニタ:ハイセンス 43U7F 43,000円
  • CPU:Intel Core i3-12100F 13,500円
  • マザーボード:Gigabyte B660M DS3H 14,300円 
  • メモリ:DDR4 16GB (8GBx2) 7,500円
  • ビデオカード:Geforce RTX 2060 6GB (Gainward Ghost) 中古で20,000円
  • ケースと電源は先代のPCから移植

ドスパラで安く出てた中古のRTX2060君

この環境で、Makuri IslandsのCastle to Castleを20名程度の集団で走ったときのZwiftalizerでの解析結果。ほぼ綺麗に60fpsをキープできている

Makuri IslandsでのZwiftalizer結果

こちらはWatopiaでの500名規模のグループライド。周囲に常時100名超のライダーがいてCrowding(混雑度)100%だが、概ね良好なフレームレート。ダートで土埃が舞い上がると若干カクついて怪しいことがあり、P1(ライド中で最もフレームレートが低かった時間1%の平均値)も51fpsまで下がっているが、まあ許容範囲。

Watopiaでの大規模グループライド

 

まとめ

ということで結構長くなってしまったが、快適なZwift4K環境を組むポイントをご紹介した。私はZwiftをやるときはいつもライドだけを楽しむタイプで、音楽は聴かないし、サブモニタで動画を見ることも一切ないので、ライドの没入感を格段に引き上げてくれる大画面なめらか4K環境を導入したことで満足度は大きく上昇した。効果的な良い投資であった。

特にMakuri Islandsは景色が好きなのでソロで流しているだけで楽しくなった。コストは多少かかるが、PCゲーム用環境としては結構安く済むほうなので、皆さんもぜひお試しを。

 

※2023年11月追記

2023年10月にWatopiaエクスパンションが公開され、島の裏手を回る新しいルートが開通した。ここの途中にある霞のかかった杉並木的なところの描画が結構重たく、自分のRTX 2060だと60fpsを確保できないようである。まあ一応50fpsくらいは出るし、すぐに通り過ぎるのでゲームプレイ上は全然問題はないのだけど。しかし、どこでも安定して60fps以上をキープという基準で言うと、そろそろRTX2070より上を投入しなくてはいけなくなったのかもしれない。

このあたりが重い

※2024年3月追記

と思っていたが、Zwiftのアップデートでいつの間にか上記の霧が立ち込めるエリアもカクつかなくなり、60fpsをキープできるようになっていた。というか全体的に軽くなった気がする。そろそろビデオカードを更新しようと思っていたが、もうしばらくRTX2060で良さそうである。

Miche(ミケ)の10速スプロケットを11速用シマノフリーで使うメモ

ものすごく需要のなさそうな情報だけどメモ 

Micheとは

イタリアの自転車パーツメーカー。ホームページはこちら。ロードのみならずグラベルMTBなど自転車全般のフレームと駆動系周りのパーツを中心に幅広く取り扱う老舗。しかしスプロケ以外が自分の検索範囲にヒットしてきたことはほとんどない。イタリアではメジャーな存在なのだろうか

今回買ったもの

Miche Primato 10速スプロケット 12-25T シマノ

Micheの10s Primatoスプロケ

なんでMicheのスプロケを買ったのか

我が家ではZwift用のスマートローラー1台を嫁さんと共用していたので、嫁さんの脚力に合わせて10速の12-30Tをセットしていた。自分の脚力からするともっとローが小さいクロスレシオにしたかったのだが。しかしこの度めでたく追加のスマロラを導入して2台完全分離体制になったので、12-25Tに変更することにした。トップは11Tでもいいんだけど、使わないし。

ということで程度の良さそうな中古でも、と探したところ引っかかったのがMicheの12-25T未使用新品1,800円。グレードはPrimatoという下から2番目のやつ。Tiagra相当か?無難に行くならシマノ一択なのだが、安いし面白そうだからこれでいいかと思って購入。まあ使えないということはないだろう

購入してみて

艶消しマット仕上げで質感は悪くない。スペーサーが明るい赤でイタリア感が出ており、装着時には見た目のアクセントになって中々よろしい。買ってから気づいたが、Micheは全てのコグが1枚ずつ分離している。シマノだとローエンドの何枚かは繋がっていて分離不可能なのだが。従って好みに合わせてどのようなギア比構成も組めるらしく、そういう需要はあるらしい

11sシマノフリーに組み付け

多少の試行錯誤の後に無事組み付けることができた。ポイントは

  • ローエンド用25Tと隣の23Tの間に赤いプラのスペーサーが入った状態で販売されていたが、これは不要だった。25Tのコグ自体の中央部分が盛り上がっていてスペーサー分の厚みが出る作りになっている。最初はそのまま赤いスペーサーありで組付けたが、あからさまに25Tと23T間が広く空きすぎていてロックリングも閉められないのですぐ気付いた。メーカーからの情報が見つからないので100%これでいいのか微妙だが、動いているので良しとする。Zwift専用機は事故の心配がなく、万が一セッティングが不適切でもパーツが壊れるだけ。なのでこのあたりが適当で良く気楽である
  • フリーボディとスプロケの間には1.85mmスペーサー1枚を挟んだらちょうど良さそうだったので、これで行くことにした。1mmを1枚でもなんとかなりそうではあったが、ロックリングがギリギリで不穏な感じだったので止めた。メーカーのサイトに行ってもマニュアルが見つからんので困る
あとは普通にリアディレイラーのインデックスとワイヤーの張りを調整して終わり。

使ってみる

ほぼ普通に使えている。リアディレイラーは10sのRD-5600。マイナーなトラブルがいくつか。
  • インナーハイ(フロント36T×リア12T)の状態でペダルを逆回転させるとチェーンがリアの13Tに乗り上げてしまうことがある。これはまだ解決できていないが、ものすごく致命的ではないので一旦放置
  • シフト時のフィールは滑らかとは言えない。ワンテンポ遅れてよっこらしょなところがあるし、シフトアップなのにチェーンがガッチャーンと派手な打撃音を出しながら変速したりする。しかしフルシマノ構成と比べてはいけないのだろう → 構わず使ってたらいつの間にかなんとなく収まってた。この「アタリがついてくる」ところに根拠のないイタリアっぽさを感じる

まとめ

シマノ以上ではないですが使えます。少しでも安く済ませたい人、普通に組んで普通に動いてもなんだかつまらないと感じてしまう人や、シマノでは作れないスプロケパターンを使いたい貴方はチャレンジしてみては。

Zwift専用室内ロードバイクの最小要件を考えるメモ

我が家のZwift用バイクはローラーにセットしっぱなしの完全室内オンリーで、実走用と比べると色々と削れる要素が多い。ということで買い替えるときのことを考えて、シンプルで低コストな専用機のセットアップを考えてみたメモ。現行機が壊れそうにないので、実際には当分買い替えないんだろうけど...

ということでまずは要件から。

室内専用機のポイント

  • 動かないので、重くていい。車重を気にする必要はない

  • 動かないので、空力とかエアロはどうでもいい

  • 動かないので、ブレーキもいらない

  • 曲がらないので、ハンドリングのフィールとかバランスは考えなくていい

  • 汗を浴びるので、フレームが錆びにくくパーツの清掃や交換がしやすい作りが望ましい

  • 憂いなくスプリントをカマすために、安くて丈夫なフレームだと安心

と考えていくと、各パーツの選定基準はこうなる

フレーム

  • 素材は、汗の影響を考えるとアルミ一択。スチールでも良いが汗対策のメンテナンスはすること。中古の古いアルミフレームで十分。もちろんカーボンでも構わないのだが、比較的高価なカーボンを敢えて選んでトレーナーに固定してスプリントで捻りを加えて痛めつける理由はないだろう

  • サイズが「概ね」合っているもの。実走用よりもザックリでいい。走らないしハンドルも切らないので(切るためのデバイスも一応存在するが)、ハンドリングのフィールを気にする必要がない。なので、実走では選ばないような極端な角度や長さのステム、あるいはシートポストでポジションを調整しても構わない。BBとサドルとブラケットの3点のポジションさえ出れば何でもよい。見た目の問題はあるが...

  • 重量やエアロ性能は検討しなくてよい。軽くてエアロなフレームに投資する意味はない

  • シフトワイヤーはフル外装推奨。アクセスしやすくメンテナンス性が高いことが大事である。ブレーキはそもそも不要なのでワイヤーもいらない。予算があるならばDi2でどうぞ

  • 汗でBBが錆びる可能性もあるので、自力での交換が容易なネジ込み式のBB86規格あたりだとベター

コンポーネントとパーツ

  • 変速段数は多いに越したことはないが、少なくても戦える。Zwift側の設定(トレーナー難易度)でかなり調整出来てしまうので。無理して12速コンポを検討しなくてもいい。コスト優先ならSoraあたりも選択肢に入る

  • リアスプロケはクロスレシオ推奨。ロー23Tまたは25Tくらいで十分。Zwiftはトレーナー難易度で急勾配での最大負荷を調節できるので、実走のように激坂を想定して30Tとか34Tといった大きいローを用意しなくてもいい。Watopiaの電波塔に行って、インナーローで負荷がちょうどよくなる程度にトレーナー難易度を調整しよう。ワイドレシオにすると変速時のギヤ比の飛びが大きくなって走りづらくなるだけで、メリットはない

  • フレームと同じく、重量を気にする必要はない。カーボンパーツを敢えて選ぶ必要性はないだろう。例えばハンドルとかクランクアームとか。

  • ブレーキは不要。掃除の手間を考えると、キャリパー自体を外してしまうのがオススメ。レバーの握りの抵抗がなくなってスカスカになるが、すぐに慣れる

  • バーテープも不要、というかむしろ取り外しを推奨。バーテープは汗を吸い、乾くまでに時間がかかり、さらに乾いても内側に塩分が残るので、ハンドル腐食の原因になり、最終的にはハンドルが折れる。なので、バーテープは外し、代わりにタオルをハンドルにかけて、タオル越しにハンドルを握るようにする。タオルは業務用の10枚いくらみたいに売ってるやつがオススメ。ライド後に毎回ハンドルを軽く拭けばメンテも済む

  • サドルは実走と同様に重要。自分に合うものをしっかり選ぶ。信号待ちがなく走りっぱなしになるので、実走よりも重要かもしれない。合わないサドルでUber Pretzelに挑むのはとてもつらい。逆に言うとZwiftでバッチリ合うサドルは実走ロングライドにも好適(経験談)なので、Zwiftでサドルを探す旅に出るのも良いかもしれない

結論としては

10年落ちくらいのアルミのエントリーバイクを中古で安く買うか、安いフレームを単体で買って安価なコンポで組むか、あたりが妥当かと思われる。予算がある人はもちろん好きなバイクを突っ込むべし。室内専用とは言っても、あまりにも格好悪いバイクではモチベーションをが下がるし、コンポ周りのフィールが悪いとライドに没入しづらくなるし。実際には、実走用にバイクを新調して、今のバイクを室内用に配置転換するパターンが一番ありそうなシナリオかなと思うが。

補足:バーチャルシフト機能

Zwift HubやKickrの最新式などのスマートトレーナーでは、Zwift謹製の専用コントローラーと組み合わせることで「バーチャルシフト機能」を利用できる。コントローラーのボタンでシフトチェンジをすると、スマトレ側で負荷を変更して、疑似的に変速したものと同じ効果を発揮するというやつ。

support.zwift.com

これを使うとバイク側では一切変速を行う必要がなくなるので、Zwift用バイクではコンポのことを考える必要がなくなる。何ならシングルギアのバイクでZwiftが楽しめますよ。という画期的な機能なのだけど、残念ながら今のところはコントローラーもZwift Hubも日本には発送してもらえない。オフィシャルに日本での取り扱いが早く始まることを願うばかりである

 

Zwiftでの通信落車を防ぐためのメモ

Zwiftプレイ中に通信が切れると、グループライドしてたら置いていかれるし、レース中なら試合終了だし、タイムアタック中だと失敗確定という、何としても抑え込まねばならない系のイベント。我が家では試行錯誤の末にZwiftでの接続切れをほぼ撲滅することに成功したので、そのメモを。 

Zwiftでの通信断とは

以下に分類できる

  1. Zwiftサーバとクライアントの間のインターネットを経由した通信。ゲーム開始前だとログインできなくなる。ライド中に発生すると周囲のライダーが全員いなくなってソロライド状態になることが多い
    • 自宅のルーターから先、つまりインターネット側でトラブルが起きた場合は利用者である我々の側でできることはほとんどない。ForumやSNSなどで情報を収集しつつ、おとなしく復旧を待つしかない。結構レアなので、自分のライド時間にブチ当たったら運が悪いと思って諦めよう
    • 自宅内でのネット接続。特にZwift母艦のパソコンやタブレットとルーター間の通信。近頃は無線接続が大多数であろう

  2. Zwift母艦とセンサー類の近距離通信。スマートトレーナーや心拍計など。通信方式はANT+またはBluetooth。発生するとそのセンサーの数字だけが消えたり止まったりするので分かりやすい。例えばスマトレが切れたらパワーがゼロになる

どこにどう対策するべきか

スマトレや心拍計の接続安定化

ANT+またはBluetooth通信をどうやって安定化するかという話。

  • 自宅のWifiを5GHz帯に集約する。2.4GHzは利用をやめてオフにする。2.4GHz帯は常時混雑していて接続不安定化の要因になるし、さらに利用周波数帯がBluetoothやANT+とカブっていて、Zwiftで重要なセンサーデバイスとの通信にも干渉する可能性が高い。特に住宅密集地域や集合住宅だとご近所からも電波がバンバン入ってくるので制御できない
  • 特にANT+を使っている場合は、ANT+にモロカブリするWifiチャネル10の利用を避けること。でもお隣さんがチャネル10だったりすると詰みだけど
  • ANT+/Bluetoothドングルは、シールド付きのUSBリピーターケーブルを経由してスマートローラーのすぐそばまで持ってくる。当方で使ったのはこれ。激安ケーブルは避ける。できれば部屋の中で長いケーブルを這い回らせたくはないので、PC直刺しでなんとかならないか試行錯誤したものの安定まで至らず、諦めて延長ケーブルを導入したら効果覿面だった
  • ドングルの機種によっては安定性が低いことがある。ローラーに近づけても接続が安定しない場合は別のメーカーのものを試してみる
  • PC/タブレット/スマホとスマートローラーとの直線上に障害物を置かない。特に金属類はNG。扇風機も射線上から外す
  • Wifiが切れる原因になるので、Zwiftプレイ中に近くで電子レンジを使わない
  • 無線接続タイプの周辺機器を使わない。例えば一昔前のキーボードやマウスなど。これらは2.4GHz帯の電波を使う上に周辺機器との干渉を避ける動作をしないので、センサー類の瞬断につながる。Bluetooth接続タイプなら大丈夫

ANT+とBluetoothはどっちがいいの?

  • 基本的にはBluetoothを選ぶのが良い。BluetoothはANT+に比べると柔軟で環境側の問題に強く、再接続などのエラー制御方法も洗練されている。Zwift公式さんもBluetoothを推奨している。ただし環境次第なので、十分安定しているならANT+でも構わない

Zwiftサーバとの通信安定化

つまりインターネット接続の話。

  • Zwiftプレイ中に発生する通信データ量は少ないので、太い帯域は不要。100Mbpsの回線で十分である。何ならスマホのテザリングでもいけなくはないが、遅延や速度が短い時間に変動するとプレイに影響する可能性があるので、できれば光回線のような有線接続方式が望ましい
  • 普段から動画再生やオンライン会議が普通にできていれば問題はない

上記以外には「センサーデバイス自体の不調/故障」例えばスマトレ本体が不調という可能性があるが、これは切り分けが難しい。2台以上あれば比較してチェックするとか、ANT+とBluetoothの両方を用意しておいてどちらでも同じように調子が悪いかどうかを見るなどの方法があるが、おそらく発生率は低い。当方では6年間使っているがトレーナー側に起因して通信が不安定になったことはない。ケイデンスセンサーがバグって60000万回転/分とかを叩き出したことがあったが、これはボタン電池の消耗が原因だった。

ということで